インテルは2022年9月21日、SaaS事業者のビジネス促進/技術支援プログラム「インテル SaaS Market Acceleration Program」を2022年第4四半期(2022年10月~12月)から提供すると発表した。SaaSベンダーへの支援を通じて、日本の中小企業におけるクラウド活用やデジタルトランスフォーメーション(DX)の促進を行う。取り組みを通じて、インテルが提唱するデータセントリックトランスフォーメーション(DcX)の推進も周知していく。
クラウド活用は半数弱、中小企業で進まない業務デジタル化
インテルは以前より、データセントリックトランスフォーメーション(DcX)を掲げて、その推進活動を続けている。DcXとは、データのやりとりや分析・活用を中心に据えて事業の刷新・成長を図る取り組みのことである。
説明会で同社は、日本の企業全体の99.7%を占める中小企業でのDX/DcXの推進状況に言及した。インテル 代表取締役社長の鈴木国正氏は、「国内の中小企業は国民の生活に密着した製品やサービスの提供だけでなく、世界市場の獲得にもつながる技術や多様な地域資源を活用する担い手となるような企業も多く存在する。しかしながら、それらの企業にはDXやDcXが浸透していない」と、現在の状況を指摘した(写真1)。
傾向は、実際の市場調査結果にも現れている。ICT専門の市場調査会社であるMM総研が2022年3月に発表した「中小企業のデジタル化に関する調査」では、DX/DcXの進展に大きく関わるクラウドを利用中と答えた中小企業の割合は49%にとどまり、中堅企業76%、大企業78%に比較して利用率は低い。
また、同調査では、クラウド利用を今後利用予定/検討している中小企業はクラウド利用の懸念事項としてコスト、セキュリティを挙げており、クラウドのメリット理解が不十分であることも示している。MM総研はこの調査レポートで、日本全体の労働生産性向上には、クラウドを中心とする中小企業のDX推進がカギを握るとしている。
インテルはこれらの問題解決を図るべく、同社の他の事業分野と同様、クラウド/SaaSにおいてもパートナー企業と協力して、中小企業をはじめとするユーザー企業のDX/DcXを推進していく考えを示した(図1)。
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その一環として提供を開始するのが、中小企業のDX/DcXやクラウド活用を支援するSaaS事業者に対して、インテルがビジネス促進や技術支援を行う「インテル SaaS Market Acceleration Program」である。
鈴木氏は、「ビジネスと技術の両面において、クラウドエコシステムへのサポートを提供する。これが当社のクラウド戦略の主要な考え方だ。新しいプログラムの下でのSaaS事業者の支援を通じて、そのエンドカスタマーである中小企業のDX/DcXをお手伝いし、労働生産性向上に寄与していきたい」と今回のプログラム提供の狙いを説明した。
●Next:複合的なアプローチで中小企業のDX/DcXを推進
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