[市場動向]

東工大と富士通、「次世代コンピューティング基盤協働研究拠点」を設置

ハードウェア/ソフトウェア双方の技術革新を目指す

2022年10月24日(月)IT Leaders編集部

東京工業大学と富士通は2022年10月20日、「富士通次世代コンピューティング基盤協働研究拠点」を東京工業大学のすずかけ台キャンパス(神奈川県横浜市)に設置した。大規模なデータ処理が可能な次世代コンピューティング基盤の実現に向けて研究する。設置期間は2026年3月31日まで。当初は東工大と富士通の双方から合計約20人の研究者が所属し、今後、人員を拡大していく予定。

 東京工業大学と富士通は、大規模なデータ処理が可能なコンピューティング基盤の実現に向けた研究拠点「富士通次世代コンピューティング基盤協働研究拠点」を、東工大のすずかけ台キャンパス(神奈川県横浜市)に設置した。設置期間は、2022年10月20日から2026年3月31日まで。当初、富士通と東工大の双方から合計約20人の研究者が所属する。将来的に人員を拡大する予定である(図1)。

図1:協働研究拠点によって目指す内容(出典:東京工業大学、富士通)
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 東工大は、GPUやサーバー液浸技術など技術を活用し、AIによる大規模深層学習やシミュレーション、データサイエンスなどを融合した科学技術計算の高速化に取り組んできた。一方の富士通は、スーパーコンピュータ「富岳」などのコンピューティング基盤や、これらの基盤の上で気象予測や創薬分野などの科学技術計算を実行するHPC(High Performance Computing)を開発してきた。

 今回の研究拠点では、東工大の学術研究と、富士通の研究開発力を組み合わせる。東工大のスパコン「TSUBAME」などのHPC環境を超える新しい次世代コンピューティング基盤を確立し、社会の諸課題への応用の拡大を目指す。

 具体的には、半導体の微細化に依存しない持続的な性能向上を実現するため、AIやHPC分野のアプリケーションやコンパイラ、アーキテクチャなど各分野の専門家が研究拠点に集う。ハードウェアとソフトウェア双方の技術革新による、次世代コンピューティング基盤の確立を目指すとしている。

 以下の4つの研究サイクルを設定している。

  1. 流体解析などの科学技術計算や、大規模/複雑なAI処理を、現行のCPUやGPU上で動作させ、性能におけるボトルネックを解析
  2. 解析結果を踏まえ、さらなる高速化を実現するコンピューティング基盤のアーキテクチャの探索・設計
  3. 上記アーキテクチャを最大限に生かし、かつ移植性を担保するコンパイラなどのソフトスタックを開発
  4. 上記の3つのステップで実現した新たなコンピューティング基盤上で各種アプリケーションの動作を解析し、最適化

 両者の役割として、東工大は、大規模AI処理や流体解析などのアプリケーションを高速に利用するために必要なコンピューティング技術をアプリケーションやコンパイラ、アーキテクチャなどの各専門分野の観点から提案する。そのうえで富士通と共同で、性能/機能面での評価をプロトタイピング環境で実施する。

 富士通は、アプリケーション高速化と効率化に向けたアーキテクチャの強化や計算リソースの動的最適化などの技術に関して、コンピューティング基盤への適用に向けた評価と検証を行う。効果が見込める要素技術を、次世代コンピューティング基盤向け技術と位置づけ、製品適用に向けた拡張やハードウェア・ソフトウェアの協調などの応用研究に取り組む。

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