治療アプリケーションや医療データ解析などの医療システムを開発・販売するサスメド(本社:東京都中央区)は、ブロックチェーン技術を用いた治験管理システムを開発・提供している。治験ではデータの改竄防止に多大なコストを払っていること、一般的なデータベースでは管理者によるデータの改竄を検知できないことなどの課題をブロックチェーンが解決するという。2022年11月17日、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)が同社の取り組みを発表した。
治療アプリケーションや医療データ解析などの医療システムを開発・販売するサスメドは、ブロックチェーン技術を用いた臨床データのモニタリングシステムを開発し、提供している。技術・サービス面で支援するAWSジャパンが「Amazon Web Services ブログ」で、サスメドの取り組みを2022年11月17日のエントリーで公開している。以下、その要旨を紹介する。
人によるモニタリング業務を代行してコストを削減
臨床データのモニタリングは、臨床データの信頼性確保のために実施するプロセスである。例えば、オンサイトのモニタリングでは、モニタリング担当者が臨床試験の実施機関を訪問して臨床試験の原資料を直接閲覧し、これを報告用資料と照合し、報告用資料が正しいことを確認する。このように、人による確認作業が治験データの信頼性を確保している。
サスメドが国立がん研究センターと共同で実施した実証実験では、ブロックチェーン技術を採用することで、原資料と報告用資料を照合しなくてもデータの信頼性が保証されることを立証したという。これにより、これまでモニタリング業務にかかっていたコストを削減できるとしている。
なお、臨床治験の多くは数億円以上のコストが発生しており、そのコストの20~50%はモニタリング業務などを実施しているCRO(開発業務委託機関)/SMO(治験施設支援機構)への委託費用であるという。
サスメドは、ブロックチェーンが治験データのモニタリングに向く理由として大きく2つを挙げている。1つは改竄耐性の高さである。現状ではモニタリングなどのデータの改竄防止手段に多大なコストを払っており、これを代替する手段として有効である。もう1つはデータベースとの比較である。特権ユーザー(データベース管理者)によるデータの改竄を検知できないデータベースと異なり、関係者の誰もがデータを検証可能である。
データベースと違い、だれもがデータを検証可能
改竄の防止が目的であれば、データベースも選択肢になる。しかし、複数の企業間でデータを共有することは難しい。さらに、データベース保存後のデータが特権ユーザー(データベース管理者)によって改竄されていないことを証明することは困難である。一方で、ブロックチェーンであれは、適切なツールを持つだれもが、ブロックチェーンに書き込まれたデータを検証できるという。
サスメドは、採用したブロックチェーンの種類やシステム構成の工夫について説明している。臨床研究/治験では大量のデータが発生せずスループット(単位時間あたりに処理できる量)の要求が低いことや、不特定多数にデータを分散して共有/検証する必要がないことから、コンソーシアム型のブロックチェーン「Hyperledger Fabric」を採用した。構築当初は、AWSのAmazon EC2インスタンス上にHyperledger Fabricの環境を構築していたが、後にフルマネージドサービスの「Amazon Managed Blockchain」に移行した(図1)。
図1:「Amazon Managed Blockchain」で構築した「Hyperledger Fabric」において、ブロックチェーンにデータを書き込むまでのアーキテクチャ図(出典:アマゾン ウェブ サービス ジャパン)拡大画像表示
システム構成上の工夫として、ブロックチェーン単体では全要件を受け止められないので、要件に応じたコンポーネントを組み合わせている。また、極力、フルマネージドサービスを活用したほか、サーバーレスアーキテクチャを採用して運用コストを抑えている。また、全インフラの構成をTerraformで管理し、同一のシステム環境を展開しやすくしている。これにより、エンジニア7人とデザイナー1人の体制で3つのサービスの開発・運用を可能にしている。
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