[事例ニュース]

サッポロビール、飲料のコンセプトを入力するとレシピを出力するAI商品開発システムを構築

2023年以降、低アルコール飲料の商品開発に投入

2022年11月28日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)

サッポロビールは2022年11月28日、AI商品開発システム「N-Wing★(ニュー・ウィング・スター)」を開発したと発表した。新商品のコンセプトや必要な情報を入力すると、推奨配合と推奨香料からなるレシピを出力するシステムである。日本IBMの支援を得て開発した。2023年夏以降、同システムを低アルコール飲料の基軸ブランドの商品開発に投入する。

 サッポロビールは、日本IBMの支援を得て、AIを用いた商品開発システム「N-Wing★(ニュー・ウィング・スター)」を開発した。新商品のコンセプトや必要な情報を入力すると、推奨配合と推奨香料からなるレシピを出力するシステムである。2023年夏以降、同システムを、RTD(Ready to Drink:栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料)の基軸ブランドの商品開発に投入する(図1関連記事サッポロビール、飲料のレシピをAIで作成、味覚コンセプトから味を創造、2022年の実用化を目指す)。

図1:AIを用いた商品開発システムにより、商品開発にかかる総時間が約50%減る(出典:サッポロビール)

 サッポロビールによると、従来、RTD新商品の開発にあたっては、原料や配合の検討に多くの時間と労力をかけ、試行錯誤を繰り返していた。具体的には、「サプライヤーから得た原料情報を基に過去のレシピなどを参照したり、長年経験している開発者から情報を収集したりしていた」という。

 開発したN-Wing★をテスト運用した結果、従来と比較して、原料の検討時間が約75%、配合の検討時間が約50%減った。新システムを実際に運用すると、レシピの予測によって、試作時の手直し時間が約50%減り、商品開発にかかる総時間が約50%減るとしている。

 AIには、これまで商品化した約170商品のレシピを学習させている。商品化にあたって検討した配合(約1200種)や原料情報(約700種)も含んでいる。システムは、新商品のコンセプトや必要な情報を入力すると、瞬時に推奨配合と推奨香料からなるレシピを出力する。目標とする配合の骨格をもとに、原料の組み合わせや、各原料が商品全体の中に占める割合(配合量)までを予測する。

 開発担当者は、システムが提示したレシピを参考に、必要な原料を調達し、試作品を開発する。「AIアルゴリズムは、人間では思い浮かばないような配合を創出する。今後も、新しい原料・開発情報を繰り返し学習させることで、レシピ配合の予測精度を向上させる」(同社)。

関連キーワード

サッポロビール / IBM / 商品開発 / 製造 / 食品 / 飲料 / R&D / サッポロホールディングス

関連記事

トピックス

[Sponsored]

サッポロビール、飲料のコンセプトを入力するとレシピを出力するAI商品開発システムを構築サッポロビールは2022年11月28日、AI商品開発システム「N-Wing★(ニュー・ウィング・スター)」を開発したと発表した。新商品のコンセプトや必要な情報を入力すると、推奨配合と推奨香料からなるレシピを出力するシステムである。日本IBMの支援を得て開発した。2023年夏以降、同システムを低アルコール飲料の基軸ブランドの商品開発に投入する。

PAGE TOP