東京都中野区、ABBYYジャパン、京都電子計算、トッパン・フォームズの4組織は2022年12月6日、地方自治体の住民税収納業務をAI-OCRで改善するシステムを構築したと発表した。導入した中野区では、業務にかかる作業量を30%、外部委託コストを25%削減した。中野区で実証したモデルは全国の地方自治体でもほぼそのまま活用できるという。
東京都中野区、ABBYYジャパン、京都電子計算、トッパン・フォームズの4組織は、地方自治体の住民税収納の業務をAI-OCRで改善するシステムを構築した。導入した中野区では、業務にかかる作業量を30%、外部委託コストを25%削減した。中野区で実証したモデルは全国の地方自治体でもほぼそのまま活用できるという。
中野区は、住民税収納業務を改善し、紙帳票からのデータ入力を外部委託による手作業からAI-OCRを活用した自治体職員によるワンストップ運用に切り替えた。特徴済通消込業務と口座情報登録業務の運用をスリム化し、機能が異なる2種類のAI-OCRツールを活用した(図1)。
1つは、京都電子計算の「AI手書き文字認識サービス」で、手書き文字も読み取れることが特徴で、LGWAN(総合行政ネットワーク)でも利用する。もう1つは、ABBYYジャパンの「ABBYY FlexiCapture」で、非定型の帳票を読み取れることが特徴で、オンプレミスで利用する。
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中野区らは取り組みの背景として、地方自治体において、特別徴収納入済通知書の消込業務の負荷が大きいことを挙げる。民間企業に勤める従業者分、都道府県職員分、国家公務員分などカテゴリーごとに特徴済通のフォーマットが異なるうえ、金融機関から受領する特徴済通は収納金融機関ごとに書式が異なる。区の基幹システムに登録するためのデータを1件ずつ作成する以外の方法がなかったという。
「口座振替の申し込みに必要な口座振替依頼書や還付金受け取りの口座振込依頼書は手書きの帳票であり、データ入力の事前準備が大変だった。基幹システムのデータレイアウトに合わせて金融機関名・支店名などをコードに変換して帳票に補記する作業を1件ずつ行う必要があった」(中野区)
中野区によると、特徴済通、口座振替・振込依頼書のいずれも、区職員が確認しながら1枚ずつ基幹システムに登録する作業は労力がかかるため、外部の入力専門業者に依頼して手入力(キーパンチ)によるデータ化業務を長年にわたって続けてきた。その一方で、昨今の労働力減少、賃金上昇によるコストの増大が課題となっていたという。