アスクルが、経理業務をデジタル化して、年間で約180時間を要していた紙伝票処理を廃し、10万枚相当の紙の削減を図った。デジタル化によって経理業務を効率化するとともに、電子帳簿保存法が求めるスキャナ要件に準拠した。導入を支援したSCSKとウイングアーク1stが2022年12月9日に発表した。
アスクルが、経理業務をデジタル化して、年間で約180時間を要していた紙伝票処理を廃し、経理部内で10万枚相当の紙の削減を図った。デジタル化によって経理業務を効率化するとともに、電子帳簿保存法が求めるスキャナ要件に準拠した。(図1)。
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従来、アスクルでは紙とPDFファイルが混在する請求書を、紙の証憑台紙に押印して回付するやり方で支払いを承認していて効率性を欠いていた。また、コロナ禍によるリモートワークを進める中で、電子帳簿保存法が求めるスキャナ要件への準拠も必要だったという。
これらの課題を解消するため、SCSKとウイングアーク1stの支援の下、業務機能を洗い出し、「SAP ERP」、電子帳票基盤「invoiceAgent 文書管理」(ウイングアーク1st)、Webアプリケーション開発基盤「intra-mart」(NTTデータ イントラマート)の各システムを連携させたワークフローの開発に取り組んだ。
これらのシステム要素を連携させるAPIを開発したことで、「伝票登記、承認、文書登録・伝票転記」といった一連業務の流れを止めることなく、支払承認まで進められるようにした。承認した伝票確証PDFファイルに自動的にタイムスタンプを付与したうえでinvoiceAgent文書管理に保存することにより、伝票データを一元管理する。
システム導入の効果として以下を挙げている。
- 出社が必須だった経理業務をデジタル化し、経理部の決算時期のリモートワーク実施率が約50%に向上した。経理部内で年間10万枚の紙を削減可能になった。
- 紙ベースによる業務と比べると、経理部への伝票提出が締切期限間近に集中することがなくなった。この結果、業務の早期着手、不備の早期発見につながった。
- 年間180時間程度を要していた業務(伝票の印刷とファイリング、請求書原本の差替え)が不要になった。
- SAP ERPとinvoiceAgentをAPIで連携させることによって、SAPを通じて過去の伝票を閲覧できるようになった。これにより、倉庫で検索する作業が不要になり、短時間で検索できるようになった。
- 外部の倉庫に紙伝票を送付する作業が要らなくなった。半年に1回30時間の業務を削減できた。
なお、SCSKは今回の構築支援を基に、SAP ERP導入済みのユーザーに向けて電子帳簿保存法に必要な業務機能をテンプレート化した「Add-Value for DX/電子帳簿保存法」を今後提供する予定である。