[市場動向]

サイオステクノロジーがSaaS事業を強化、MedTechなどで新サービスを投入

2022年12月15日(木)神 幸葉(IT Leaders編集部)

サイオステクノロジーは2022年12月7日、事業戦略発表会を開き、同社が強化中のSaaS事業について説明した。創業の原点であるオープンソースソフトウェア(OSS)を用いたシステム構築・運用支援に加えて、コロナ禍で進む企業のクラウドシフトを支援すべく拡充を続けるSaaS事業の進捗と展望を詳らかにした。

MedTechに参入して電子カルテクラウドサービスを提供

 オープンソースソフトウェア(OSS)を活用したシステムインテグレーションを事業の原点とするサイオスグループ。同グループは、コロナ禍でデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが多くの企業で進んでいることを背景に、2021年12月、SaaSを通じてDX実現を支援する方針を打ち出している。

 特にDX実現に向けたパブリッククラウド活用の機運の高まりを受け、サイオステクノロジーではSaaS事業への投資を継続的に強化してきた。ワークフローやIDaaS、Google Workspaceアドオンの「Gluegent」シリーズをはじめとする既存SaaS製品に加え、2022年春には医療・ライフサイエンスのデジタル化を支援するMedTech分野での事業を立ち上げている(図1)。

図1:サイオステクノロジーのSaaS群(出典:サイオステクノロジー)
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 MedTech事業を立ち上げた背景として同社は、2020年8月に経済産業省と総務省から「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン」が、2021年1月には厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5.1版」が公開されるなど、政策としてこの分野が推進されていることを挙げている(図2)。

 サイオステクノロジー 代表取締役社長の喜多伸夫氏(写真1)は、「電子カルテシステム、オーダリングシステムとも普及は進んでおり、医療情報システムの普及率は年々上昇しているが、標準化クラウドの活用はあまり進んでいない」と、この分野におけるクラウド活用の現状を指摘した。

図2:医療情報システムの標準化(出典:サイオステクノロジー)
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写真1:サイオステクノロジー 代表取締役社長の喜多伸夫氏

 厚労省が発表した電子カルテなどの標準化の方針に沿って、同社は2022年春、医療分野のDX支援を支援するSaaSとして、精神科向け電子カルテのクラウドサービス「INDIGO NOTE(インディゴノート)」をリリースした。

 INDIGO NOTEは、愛媛大学医学部医療情報講座との共同研究の下、これまで独自のデータ保存形式での管理が主流だった電子カルテサービスに、データ蓄積・交換にかかる標準規格として、次世代医療情報交換規格「HL7 FHIR (Fast Healthcare Interoperability Resource)」を採用。国内の電子カルテサービスとしては初めての採用になるという。

 また、処方や検査結果などは厚労省標準規格に準拠して記述することで、データの2次利用性を確保している。フルクラウドでのサービス展開に加え、国内複数拠点で分散的にデータ管理を行うため、オンプレミスサービスに比べ、高い可用性を実現している。監修・設計には、医療法人社団成仁(所在地:東京都足立区)が協力している。喜多氏は同製品の強みとして以下を挙げた。

政府や医療機関のデータ標準化に呼応:医療機関間での医療情報共有、臨床研究などへの活用
フルクラウドのサブスクリプションモデル:導入コストを大幅に削減し、コストが理由で電子カルテの導入に進めなかった医療機関にも向く。また、デバイスを問わずに利用可能
後発としてベストプラクティスを集約:先発品の成功に資した知識や失敗から学んだ知識を集約

●Next:培ってきた経験をを投入し、SaaS事業の成長を目指す

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