業務やタスク処理の自動化といえば、RPA(Robotic Process Automation)が主流だ。一方でAIが急速に身近になり、RPAと組み合わせることでより知的な自動化を行うインテリジェントオートメ―ション(IA:Intelligent Automation)の活用が広がってきている。2022年、ドイツのITサービスプロバイダーのAdessoが、ドイツ国内の企業と官公庁にIAの利用に関してアンケート調査を実施。本稿では先日発表された調査報告書の要点を解説する。
数年前から「インテリジェントオートメーション(IA:Intelligent Automation)」という言葉を耳にするようになった。従来は、この言葉の後半部、つまりオートメーションでは業務の一部を自動化するRPA(Robotic Process Automation)が主流だったが、これに各種のAI技術を組み合わせて知的な処理を可能にしたのがIAである。
では、IAは欧州でどこまで広がっているのか? 2022年5月とやや古いが、ドイツのITサービスプロバイダーであるAdessoが、現地の市場調査会社のHEUTE und MORGENと共同で、「ドイツ国内の企業と官公庁でIAがどの程度利用されているのか」「導入に際する問題点は何か」などを調査した結果を見つけたので紹介する。
調査の回答者はドイツの企業に勤務し、ソフトウェアやサービスの導入に決定権を持つ500人。勤務先企業の業種は図1のとおりで、官公庁も7%含まれている。従業員規模は、251~500人(34%)、501~2000人(36%)、2001人以上(30%)と大企業も含まれるが、中堅以下の企業が多い。回答者の所属部門は図2である。調査はオンラインでアンケートを実施した。なお調査報告書は「Intelligent Automation - Automatisierung intelligent weitergedachat」(Webサイト)からダウンロードできる。
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調査ではまず、IAと密接に関係するAIについて聞いている。図にはないが、回答者の65%は「AIはビジネス拡大のチャンス」と肯定的にとらえ、18%は「リスクをもたらす」と不安に感じているという結果だった。また利用しているIA関連ツールやAIツールには以下のようなものが挙げられている。
IAプラットフォーム
●Mendix
●Blue Prism
●SIMPLIFIER
●Flowable
●Automation Anywhere
●OutDystems
●UiPath
コンピュータービジョン(注1)
●PLANET AI
●ABBYY
●OpenCV
マシンラーニング
●PyTorch
●TensorFlow
●scikit-learn
自然言語解析
●Cogni
●spaCy
●Natural Language Analysis with Python NLTK
注1:コンピュータビジョンは、画像や動画データから情報や知識を自動的に抽出・解析・理解することを目的としたコンピューターサイエンス分野のこと
IT部門やサービス部門などがIA導入に積極的
それではIAに関する調査結果を見ていく。現時点でのIAツールやIAサービスの導入状況が図3である。「導入済み」「導入計画中」を合わせると、IT部門では8割を超える。次いで導入率が高い部門はサービス、製造、販売、ロジスティックス(輸送)と続く。反対に低い部門は経営統括や人事など、非定型的な業務が多いと思われる部門である。購買・調達や経理など定型業務が多く、システム化されている部門は中間に位置する。
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IAの導入目的に関する質問では、「効率アップ」(58%)や「コストカット」(46%)が上位に来る(図4)。このあたりは日本のRPA/IAツールでも同じはずだが、目を引くのが3番目の「今後の成長」(39%)。目先のコストカットはともあれ、将来の業務量の増加に備えて布石を打っていると考えられるわけで、いかにもドイツらしいと思える。
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●Next:IA導入の阻害要因、AIの注目応用領域は?
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