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LIXIL、AI需要予測で120万品/230万SKU超の建材製品サプライチェーンを最適化

2023年4月28日(金)IT Leaders編集部

LIXILは2023年4月27日、建材製品のサプライチェーン最適化に向けた取り組みの1つとして、AI/マシンラーニング(機械学習)を用いた需要予測の試験運用を開始したと発表した。サッシやドア、エクステリアなどの建材事業を展開するLIXIL Housing Technologyの約120万品/230万SKUの建材製品を対象に、PwCコンサルティングのAI需要予測システム「Multidimensional Demand Forecasting(MDF)」を活用する。

 建築材料・住宅設備機器メーカーのLIXILは、急激な事業環境の変化に柔軟かつ機動的に対応すべく、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進している。デジタル化でより顧客志向の組織へと転換すると共に、生産体制とサプライチェーンの最適化に取り組んでいる。

 同社は、これまでも、消費者の多様なニーズに対応すべく多品種の生産基盤を構築し、事業生産性向上やブランド競争力向上に取り組んできた。しかし、資材調達リスクやコンテナ不足など世界的なサプライチェーンにおける問題が発生し、事業環境が大きく変化する中で、多岐にわたる製品コードを人の手によって需要予測をすることは困難になっていったという。

 そこで目指したのが、今後起きうる課題を予見し、迅速な対応が可能な体制の構築である。調達から製造、販売までの各プロセスにおける状況を把握し、在庫管理や業務運営の効率化などサプライチェーン全体の最適化に向けた取り組みの1つとして、AI需要予測システムの導入プロジェクトを始動した。

 同社のハウジングテクノロジー事業「LIXIL Housing Technology」は、品数で約120万、販売エリア別に展開したSKU(受発注・在庫の最小管理単位)で230万を超える建材製品を扱う。これほど大規模だと、細かい粒度で需要の動きや特徴を捉えることは困難で、さまざまなサプライチェーンリスク(欠品・リードタイム延長・過剰在庫・廃棄コスト・横持ち輸送コストなど)を低減することが喫緊の課題だったという。

 導入したAI需要予測システムは、PwCコンサルティングの「Multidimensional Demand Forecasting(MDF)である(図1)。同システムを活用することで、230万の予測対象個々の特徴を捉えた具体的かつ高精度な予測算出が可能となった。膨大な予測データを一元管理して提供する基盤を、PwCコンサルティングの支援を得て構築したクラウド型データ統合プラットフォーム「LIXIL Data Platform」が担う(関連記事LIXIL、基幹システムを刷新し、全社データ分析基盤も構築)。

図1:Multidimensional Demand Forecasting(MDF)による需要予測のイメージ(出典:PwCコンサルティング)
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 2022年9月より、LIXIL Housing Technologyの約半数を占める既存製品の予測値について先行展開。2023年1月より、従来は予測できなかったモデルチェンジ製品についても対応し、同事業のほぼすべての製品をカバーする予測値の算出を可能にした。

 LIXILは並行して、各工場でデータ活用の自走化を促すデジタルスキルの支援を行い、多くの工場で潜在リスク低減に向けた実用化レベルの取り組みを進めている。今後は、製品だけでなく副資材なども含め、需要予測の対象領域を拡大していく計画という。

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