[市場動向]
東京都、ブロックチェーンを活用した「デジタル証券」の発行支援事業を開始
2023年6月1日(木)河原 潤(IT Leaders編集部)
東京都は2023年5月31日、セキュリティトークンによるデジタル証券の発行支援事業を開始したと発表した。ブロックチェーンを活用してデジタル証券をセキュリティトークンとして発行することで、高い安全性や管理性を確保する。デジタル証券を発行する都内の金融/FinTech事業者に対して、金融商品取引法および不動産特定共同事業法に基づき、発行に必要な経費の一部を補助する。2021年3月策定の「未来の東京」戦略の一環で行う事業となる。
近年、取引履歴を分散的に処理・記録するブロックチェーン技術への注目が高まり、金融/FinTech分野でさまざまな活用事例が登場している。今回、東京都が取り組むのは、ブロックチェーンを活用したセキュリティトークン型の「デジタル証券」の発行支援事業。従来の有価証券に比べて小口発行が可能で、発行体と投資家が直接つながることができるなどの特徴を持つ。
なお同事業は、東京都が2021年3月策定の「未来の東京」戦略で掲げた「国際金融都市・東京の実現 - 金融インフラ×デジタル」構想の一環として取り組まれる(図1)。
図1:「国際金融都市・東京の実現」構想(出典:東京都「『未来の東京』戦略 version up 2023」、2023年1月)拡大画像表示
支援内容として、金融商品取引法および不動産特定共同事業法に基づき、デジタル証券を発行する都内の金融/FinTech事業者に対して、発行に必要な経費の一部を補助する。補助対象となる経費はプラットフォーム利用料、専門家などへの相談経費、システム開発費用の3項目。補助率の上限は2分の1(スタートアップの場合は3分の2)で、補助額の上限は1件あたり上限500万円となっている。
申請受付期間は2023年5月31日から2024年2月29日で、申請に対する補助金の採択は、概ね1~2カ月ごとに開催する審査会で行う予定。なお、申請の総額が同事業に係る東京都の予算限度額に達した場合、申請受付が締め切られる。補助対象者、補助対象経費の条件、申請書類などの詳細は、東京都のスタートアップ・国際金融都市戦略室のWebページに掲載されている。
東京都は、デジタル証券の普及が、個人の投資促進やスタートアップの資金調達の多様化に資するといった効果を生むことに期待をかける。「デジタル証券の多様な発行事例を創出し、ノウハウや課題を広く共有することで市場拡大を図っていく」としている。
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