アイ・ティ・アール(ITR)は2023年6月15日、国内のゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)市場における規模の推移と予測を発表した。2021年度の売上金額は17億円、前年度比70.0%増だった。2022年度は同40.0%増の23億8000万円を予測している。
アイ・ティ・アール(ITR)は、国内のゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)市場における規模の推移と予測を発表した。2021年度の売上金額は17億円、前年度比70.0%増だった。2022年度は同40.0%増の23億8000万円を予測している(図1)。
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「企業システムのクラウドシフトとリモートワークの定着にともない、境界型防御セキュリティを見直す企業が増えている。従来、社外から社内ネットワークへの不正アクセスを防御する手段としてはVPNを使っていたが、ID/パスワードが漏洩すると機密情報の漏洩につながる恐れがあった」(ITR)
こうした背景から、新たなアクセス手段としてZTNAが注目されるようになった。「ZTNAには、ユーザーごとに権限を設定してアクセスを制限できることや、ユーザー認証がID/パスワードだけでなく、生体認証などの多要素認証を使えることといった特徴がある」(同社)
ITRによると、特に、何も信用しないというゼロトラスト型のセキュリティの概念が定着したことや、VPN機器の脆弱性を突いた攻撃の発生によって、ZTNAの注目が高まっているという。参入するベンダーも増えており、市場は大きく成長している。ITRでは、同市場のCAGR(2021~2026年度)を16.8%、2026年度には37億円に達すると予測している。
「VPN経由で社内ネットワークにログインしてから社外のクラウドサービスを使うと、同時ログイン数の制限があったり、レスポンスが遅くなったりする問題が発生していた。ZTNAでは、インタ―ネット経由でクラウドサービスにアクセス後、クラウド側から社内ネットワークにアクセスする形になるため、これらの問題を解決できる。今後クラウド化の進行にともない、VPNに代わってZTNAが主流となっていく」(ITR)
今回の発表は、ITRの市場調査レポート「ITR Market View:エンドポイント/無害化/Web分離/CASB/CNAPP/SOAR/ZTNA市場2023」の概要である。同レポートは、ZTNAのほか、エンドポイントマルウェア対策、エンドポイント型標的型攻撃対策、EDR(Endpoint Detection and Response)/NGAV(Next Generation Anti-Virus)、メール無害化/ファイル無害化、Web分離、CASB(Cloud Access Security Broker)、CNAPP(Cloud Native Application Protection Platform)、SOAR(Security Orchestration, Automation and Response)の全9分野を対象に、国内47ベンダーへの調査に基づいた2020~2021年度売上実績および2026年度までの売上予測を掲載している。