住友商事は、基幹システムのSAP ERP(ECC 6.0)をS/4HANAに移行している。移行プロジェクトの開始は2022年4月。国内拠点とグループ会社については2024年末までに、海外については2026年中旬までに移行を完了する予定である。同社はパブリッククラウドを用いたシステム基盤「SCデジタル基盤」を2021年から運営しており、今回のERP移行もSCデジタル基盤をシステム基盤として利用する。アマゾン ウェブ サービス ジャパンが2023年6月22日に開催した発表会で取り組みを説明した。
住友商事は、基幹システムのSAP ERP(ECC 6.0)を、S/4HANAに移行している(図1)。移行プロジェクトの開始(要件定義の開始)は2022年4月。現在移行中であり、国内拠点とグループ会社については2024年末までに、海外については2026年中旬までに移行を完了する予定である。
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なお、現行の基幹システムは、約20年前に構築したもの。これまでは、パッケージの標準機能と業務とのギャップをアドオン開発でまかなってきた。今後は、標準機能と外部システムと組み合わせるコンポーザブルなアーキテクチャを採用する。業務のギャップは外部システムとのAPI連携でカバーする(図2)。
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現行の基幹システムは、2017年にDBMS(データベース管理システム)をSAP HANAにアップグレードしている。これにあわせ、ERPアプリケーションであるECC 6.0もSAPが運営するクラウドサービスに移行した。今回、AWS(Amazon Web Services)を用い、ERPアプリケーションをS/4HANAに移行する。
同社は、パブリッククラウドを用いた全社共通のシステム基盤「SCデジタル基盤」を2021年から運営している。新たに開発するアプリケーションの基盤として使っているほか、オンプレミスで運用している既存システムを移行する基盤としても使っている。今回のERPの刷新にあたっても、SCデジタル基盤をシステム基盤として利用する。現行のオンプレミス資産のすべてがパブリッククラウドに移行するのは、あと3~4年はかかると同社は見ている。
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SCデジタル基盤は、セキュリティ機能やインフラ運用監視機能など、AWSの機能群をコア機能として活用する(図3)。2021年以降、システム構成をコードベースで扱うためのIaCや各種ITツールの提供を少しづつ始めていった。2023年には、クラウド基盤に必要な機能群が、ほぼフルラインアップ構成になった。同社はAWSを基軸としたマルチクラウド戦略を採用しており、AWSの基本機能を使いつつ、データやアプリケーションの特性に応じて各種パブリッククラウドを利用する。