[事例ニュース]
NTT Com、竹中工務店、清水建設の3社、建築現場の工程管理をシステム化、パッケージを外販
2023年7月11日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)、竹中工務店、清水建設の3社は2023年7月11日、建築現場における施工管理のシステム化に向けて協業を開始したと発表した。施工管理システムを構築するとともに、建設業界向けのパッケージに仕上げてNTT Comが外販する。システムの導入効果として、施工管理業務の総労働時間を3割削減することを見込む。
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)、竹中工務店、清水建設の3社は、建築現場における施工管理のシステム化に向けて協業を開始した(写真1)。施工管理システムを構築するとともに、建設業界向けのパッケージに仕上げてNTT Comが外販する。2023年度内のリリースを予定する。システムの導入効果として、施工管理業務の総労働時間を3割削減することを見込む。
建築現場では、図面に描いた建築物を工程表で定めたスケジュールに従って施工している。図面情報についてはBIM(Building Information Modeling)の活用が進みつつあるが、工程情報については、いまだにアナログな管理も多い。一方、工程管理は建築施工管理の根幹であり、システム化の効果は大きい。そこで今回、工程情報に着目し、施工管理業務のシステム化を図った。
ベースとなるシステムは、竹中工務店とNTTドコモがスクラッチで開発したもの。今回、これをベースにデータ連携の仕組みなどを開発し、建設業界に向けてパッケージ化を図った。ポイントは、工程表から作業日報まで施工情報を連携させることである(図1)。
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工程表から作業日報まで施工情報を連携
これまで工程情報がシステム化されてこなかった背景として、施工管理アプリケーションの多くが工程の作成や進捗管理など個々の業務に分かれており、アプリケーション間での実用的なデータ連携ができていなかったことを挙げている。
3社によると、データ連携ができていなかった理由の1つは、工程表と作業日報で、扱う情報の粒度に差異があること。工程表は、工事全体の大きな流れを記載する。一方で、作業日報は、各工程の中で実施する作業の詳細(作業の人員数や具体的な作業項目など)を記載する。
今回の協業では、工程表から作業日報までの各施工管理に関わるデータを、情報の粒度の差異を調整しながら、実用的にデータ連携可能なロジックを開発する。こうして、工程表のデータをリソース手配や作業指示、作業日報まで引き継ぐ。
工程データに労務、材料、施工スペース、建機などのリソースの実績データをひもつけることで、工程計画の精度が高まる。将来的には、工程表作成、リソース手配、作業指示などが半自動的に行われる施工管理を目指す。
工程情報の標準化も図る。建設業界では、BIMなどの分野ではデータの標準化が進んでいるが、工程や作業の情報については標準化が進んでいないのが現状である。今回のプロジェクトを通して、工程情報の標準化を検討する。
図2は、システムの具体的な利用イメージである。
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システムによって実現する施工業務のプロセスは、以下の通り。
- 工程表の情報に、各種の属性情報(工種、施工量、人員)を付与する
- 工程表の情報をもとに、作業レベルに分解し、作業に必要な粒度の情報(協力会社、作業場所など)を加え、作業間で調整する
- 調整した作業に関連する平面的位置情報や配置情報を加えて情報を視覚化し、手配する
- 平面的に視覚化した情報をもとに、朝礼コンテンツを作成する
- 作業日報から実績データを取得し、予定と実績を比較する