モバイルクリエイトとインターネットイニシアティブ（IIJ）は2023年7月31日、Android OS搭載の業務用デバイスに向けて、通信障害時にプロファイル（携帯電話網に接続するための情報）を自動的に切り替える自動切替アプリを共同で開発したと発表した。同アプリが主回線の死活状況を監視し、主回線の通信障害時にIIJの「マルチプロファイルSIM」と連携して回線を切り替える仕組みである。
モバイルクリエイトとIIJは、Android OS搭載の業務用デバイスに向けて、通信障害時にプロファイル（携帯電話網に接続するための情報）を自動的に切り替える自動切替アプリを共同で開発した。Androidデバイスにインストールする自動切替アプリが主回線の死活状況を監視し、主回線の通信障害時にIIJの「マルチプロファイルSIM」と連携して回線を切り替える。
図1：モバイル回線の通信障害時にプロファイルを自動的に切り替える「自動切替アプリ」の概要（出典：モバイルクリエイト、インターネットイニシアティブ）拡大画像表示
図1は、主回線の死活状況を常時監視する仕組みである。あらかじめ指定した2つの外部サーバーに対して定期的にアクセスし、疎通確認を実施する（サーバーAで疎通確認がとれない場合はサーバーBで確認する）。2台とも疎通確認がとれない場合は、マルチプロファイルSIMに対して、プロファイルを切り替えるようにコマンドを発出し、サブ回線に切り替える。死活監視の回数や疎通確認を行う監視先の対象サーバーは、自由に設定可能である。サブ回線からメイン回線に切り戻す自動復旧機能も備えている。
開発の背景として、携帯電話回線でデータを送受信する業務のうち、安定継続が前提となる業務では、手軽に導入可能な通信冗長化の仕組みが求められていることを挙げる。両社によると、POSレジ、飲食店の注文処理、小売店の決済処理、工場の生産ラインのデータ収集、点検業務など各種の業務現場でAndroidデバイスが利用されているが、回線が利用できない場合の通信バックアップ機能を備えた機種は少ないという。
IIJは2023年6月から、1枚のSIMカードで複数のプロファイルを保持できるマルチプロファイルSIMを提供している。プロファイルの切り替え動作は、利用する端末側で設計・実装する。今回のケースでは、新たに開発した自動切替アプリがマルチプロファイルSIMと連携する。業務用アプリケーションを搭載した端末に自動切替アプリを追加するだけで、プロファイルを自動で切り替えられるようになる（関連記事：IIJ、通信障害時に1枚のSIMで携帯電話網を切り替え可能な「マルチプロファイルSIM」）。
