小売電気事業者のエネット(本社:東京都港区)とPwCコンサルティングは2023年8月4日、電気事業の制度改正が電力業界に与える影響を生成AIを活用して分析・評価する実証実験を開始したと発表した。制度改正の論点や背景を体系的に分析・整理する。PwCはこの取り組みにおいて、生成AIのチューニングを含むデータサイエンティストによる技術検証、業務トライアル、効果検証などを支援する。
小売電気事業者のエネットとPwCコンサルティングは、電気事業の制度改正が電力業界に与える影響を生成AIを活用して分析・評価する実証実験を開始した。制度改正の論点や背景を体系的に分析・整理する。制度変更内容の把握や影響評価の効率化、事業活動や政策提言への迅速な反映、顧客に対する迅速かつ正確な情報提供などの効果を検証する。
取り組みの背景として、2016年の小売全面自由化によって事業者が多数参入したことによる競争の拡大、燃料価格の高騰などの影響による市場価格の変動、再生可能エネルギー導入加速に伴う火力発電所の稼働率低下による供給力不足問題などを挙げている。
PwCは、この取り組みにおいて、生成AIのチューニングを含むデータサイエンティストによる技術検証、業務トライアル、効果検証などを支援する。「今回の実証実験は、電力システムの改革を進める政府・省庁および関連する事業者間の情報格差を解消し、電気事業の健全な発展に向けた意見形成を補助することにもつながる。EV(電気自動車)やVPP(バーチャルパワープラント:仮想発電所)などに取り組む新たなプレイヤーを含め、他産業からの電気事業への進出を促進することも視野に入れる」(PwC)。
エネットは、NTTグループ、東京ガス、大阪ガスの3社が、電力自由化元年の2000年に設立した小売電気事業者。エネルギーとITを組み合わせ、CO2排出量や環境負荷の低減、顧客の利便性向上を支援する各種サービスを提供している。電気使用状況を可視化する「InfoEnnet」、省エネをAIで支援する「Enneteye」、デマンドレスポンス「EnneSmart」、再生可能エネルギー導入支援「EnneGreen」、EV導入・運用支援「EnneEV」など各種のサービスを提供している。