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5Gを用いた鉄道用無線通信基盤、業界標準化を視野に構築/実証へ─東京メトロ、鉄道総研など

2024年1月25日(木)IT Leaders編集部

東京メトロ、鉄道総合技術研究所、日立製作所、三菱電機、NTTコミュニケーションズの5組織は2024年1月24日、地下トンネルや地上の線路内に設置した設備と列車を5Gネットワークで通信する実証試験を行うと発表した。2024年8月~2025年3月の期間、東京メトロ丸ノ内線の新大塚~後楽園駅間で実施する。実証試験を通じて5Gを用いた鉄道用通信基盤の有効性を検証し、鉄道業界での標準化を目指す。

 東京メトロ(本社:東京都台東区)、公益財団法人鉄道総合技術研究所(鉄道総研、本部:東京都国分寺市)、日立製作所、三菱電機、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)の5組織は、地下トンネルや地上の線路内に設置した設備と列車を5Gネットワークで通信する実証試験を行う。2024年8月~2025年3月の期間、東京メトロ丸ノ内線の新大塚~後楽園駅間で実施する。

 「鉄道用通信システムは各鉄道事業者が独自に開発した専用設備で構築しているため汎用性が低く、開発/運用保守コストが負担になっている。また、就労人口減に伴う熟練技術者の減少からスキル伝承の問題もある」(5組織)などの背景からプロジェクトが始動。実証試験を通じて5Gを用いた鉄道用通信基盤の有効性を検証し、鉄道業界での標準化を目指す(図1表1)。

図1:実証試験区間の概要(出典:東京地下鉄、鉄道総合技術研究所、日立製作所、三菱電機、NTTコミュニケーションズ)
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 東京メトロのフィールド内にパブリックおよびローカル5Gを用いて、欧州を中心に規格化が進む鉄道業界の無線通信基盤「FRMCS」を参考にして通信基盤のプロトタイプを構築する。主に以下の試験を計画している(図2)。

  1. パブリック/ローカル5Gと専用無線設備における地下/地上空間の電波伝搬特性を調査
  2. 地上/列車間において、条件下で所要の通信品質を確保できるかを比較検証
  3. 鉄道用通信基盤上でCBTC(地上/列車間で無線通信技術を利用する列車運行システム)を用いた制御試験、画像伝送試験、鉄道用アプリの機能検証
図2:実証試験の構成(出典:東京地下鉄、鉄道総合技術研究所、日立製作所、三菱電機、NTTコミュニケーションズ)
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 実証試験では、CBTCなどの列車運行システムでの地上/列車間データ伝送、センシング技術で収集した情報の分析基盤への伝送、列車内と地上設備のカメラ映像のリアルタイム伝送などを検証。事故防止、列車の安全運行、顧客安全、保全業務の効率向上、設備投資の低減などの効果を測定する。以下は5組織が挙げる実証試験の主な内容である。

  1. パブリック5Gと専用設備を必要とするローカル5Gの両環境を検証し、5G通信による設備投資の低減やメンテナンスにかかる鉄道運営の効率化を目指す
  2. 最新技術による効率化・省力化と安全・安定性向上の両立を実現するための通信基盤の有用性を検証。鉄道システムでの活用・適用範囲を明確にする
  3. 5Gを活用した鉄道用通信基盤として先行するFRMCSとの互換性を考慮し、欧州と共通で利用可能な鉄道用通信基盤の仕様策定を目指す
  4. 構築した鉄道用通信基盤プロトタイプの仕様案を公開し、標準化を目指す
表1:実証試験に関わる5組織の役割(出典:東京地下鉄、鉄道総合技術研究所、日立製作所、三菱電機、NTTコミュニケーションズ)
組織 役割
東京メトロ 鉄道事業者としての試験車両の運行および試験監修
鉄道総合技術研究所 鉄道用無線通信基盤の研究に関する知見の提供、評価
日立製作所 ローカル5G、鉄道用無線通信基盤を含む地上/車上設備に関する設備構築と技術支援
三菱電機
NTTコミュニケーションズ パブリック5Gの活用、技術支援
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