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[データマネジメント2024]

SAP S/4HANAのデータを意思決定に生かすために必要となる情報活用基盤のあるべき姿

2024年4月18日(木)

企業が収集・蓄積するデータは多種多様だ。そのデータを経営や事業運営における意思決定に生かすにはどうすればよいのか。2024年3月8日に開催された「データマネジメント2024」(主催:日本データマネジメント・コンソーシアム〈JDMC〉、インプレス)に、SAPジャパンの椛田 后一氏が登壇。SAP S/4HANAのデータを意思決定に生かすために必要となる情報活用基盤のあるべき姿について、システムアーキテクチャやデータモデリングの観点から解説した。
提供:SAPジャパン株式会社

データ活用の工数の多くは「失われたビジネスコンテキストの再構築」に費やしている

 企業でのデータ利活用を実践するうえで、ERP(Enterprise Resources Planning:基幹情報システム)のデータをどう活用していくかは重要なテーマだ。生産や販売、購買、会計などの業務を複数のシステムで管理する場合、システム間連携によるタイミングのズレや二重入力、データの不整合などが発生しやすい。これら業務を1つのシステムで統合したERPは、ヒト・モノ・カネといった経営資源を統合管理し、整合性のとれた全体最適を実現できる。

 SAPジャパン カスタマーアドバイザリー統括本部 シニアディレクターの椛田 后一氏は、「SAP S/4HANAを導入する目的の1つが、バラバラでサイロ化された各業務システムを統合し、全体最適なシステムを実現することにあります。これにより、リアルタイムな業務プロセスの連携や、整合性のとれたデータの管理、業務でのデータ活用やアクションの早期化が期待できます。また、データの観点からみると、1つの業務プロセスを流したときに、複数の業務領域に対して整合性のとれたデータとしてトランザクションデータやマスターデータが生成されることになります」とSAPの実現する世界について語る。

SAPジャパン株式会社 カスタマーアドバイザリー統括本部 シニアディレクター 椛田 后一 氏

 ただ、SAP S/4HANAのデータをデータレイクに抽出し、BIツールを利用してデータを活用しようとすると、さまざまな課題に直面する。例えば、「レポートによってデータが異なる」「データ分析するための項目が足りない」「レポート作成に手間がかかる」などだ。こうした課題が生まれる背景には「ビジネスコンテキストの再構築」があるという。

「ビジネスコンテキストとは、業務データを活用していくうえで、そのデータが持つビジネス的な意味合い、文脈、ロジックなどのことです。データ活用では、データレイクなどにデータを蓄積し、そのデータを加工してBIツールで可視化を行いますが、SAP S/4HANAのデータ活用を従来の手法で実装すると、SAP S/4HANAのビジネスコンテキストが失われ、再構築する作業に多くの時間が費やされているのです(図1)」(椛田氏)

図1:多くの工数がビジネスコンテキストの再構築に費やされている
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SAP S/4HANAのデータ活用の鍵はビジネスコンテキストを加味したデータ統合

 ビジネスコンテキストの再構築というのは、例えば「品目番号」「品目グループ」「受注番号」「受注日」などのトランザクションデータやマスターデータの構造や意味合い、そして、「分析軸」「会計期間」「単位・書式」「通貨換算」「集計メジャー(SUM/AVG/MAXなど)」といったデータを活用するための文脈やロジックを再構築することを指す。

 これは、トランザクション処理(OLTP)と、データ分析処理(OLAP)で同じデータを異なる視点から利用していると言える。OLTPとOLAPという2つの処理を1つのシステムで実行できるのがSAP S/4HANAの特徴だが、このビジネスコンテキストは、「ABAP CDS View」という仮想データモデルにより実装されている。

 SAP S/4HANAのデータ活用では、SAP S/4HANA以外のデータと掛け合わせたデータ統合も求められる。すなわち、SAP S/4HANAのデータ活用は、「ABAP CDS View」で実装されたビジネスコンテキストの再利用が鍵だと言える(図2)。

図2:ビジネスコンテキストを加味したデータ統合により、精度の高い意思決定を支援するSAP S/4HANA
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 SAP S/4HANAには、ABAP CDS Viewを活用した標準画面である「Fiori」のほかにも、ビジネスコンテキストを失うことなくSAP S/4HANAのデータを活用できるソリューションがある。BIツールとしてダッシュボードなどを提供する「SAP Analytics Cloud」、データマネジメントやモデリングなどの統合DWH機能を提供する「SAP Datasphere」だ。

 SAP S/4HANAにSAP Analytics CloudとSAP Datasphereを組み合わせると、他のBIツールやDWHにはないメリットが得られると椛田氏は述べる。

「SAP S/4HANAと他のツールを組み合わせる場合、バッチでの処理となり、前日分のデータしか見られないなど、従来のBI/DWHの制約を受けます。一方、SAP S/4HANAと、SAP Analytics Cloud、SAP Datasphereを合わせて利用するとリアルタイムなデータ連携が可能になります。これにより意思決定のスピードを早めることができるのです(図3)」(椛田氏)

図3:SAP S/4HANAのデータを最大限活用できるデータ利活用基盤
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SAP S/4HANAのデータを最大限活用できるBIツール「SAP Analytics Cloud」

 SAP Analytics Cloudの特徴は、業務画面から分析画面へシームレスに連携できること、SAP S/4HANAに登録された明細データをリアルタイムに集計し、自由な角度で分析・可視化できることなどが挙げられる。SAP S/4HANAの原価センターやGL勘定科目の階層へそのままアクセスし、レポートの分析軸として利用できる。複数の階層定義が設定されている場合も簡単に切替えることができ、入力条件によるフィルタリングやデータセキュリティなどもSAP S/4HANAの定義がそのまま適用できるという。

 リアルタイムにデータが反映されるダッシュボードを作成して、実績の可視化やポートフォリオ分析、予実差異分析、拠点別実績確認などを行うこともできる。

「データの傾向・特徴を視覚的に表現する多様なチャートや、迅速な気づきの獲得につながります。ビジネスユーザーが感覚的に操作できるUIを提供します」(椛田氏)

ビジネスデータファブリックを提供するDWH基盤「SAP Datasphere」

 続いて、SAP Datasphereの特徴は、セルフサービスアクセスによる意思決定の迅速化、セキュリティやコンプライアンス、データ品質に対する包括的なデータガバナンスの提供、最新のデータに基づく意思決定の早期化、複雑なデータ環境のシンプル化などにある。

「SAP Datasphereは、ビジネスデータファブリックがコンセプトです。これには2つの意味合いが込められています。1つは、SAP S/4HANA上で実装されたビジネスコンテキストを損なうことなく、意味のあるデータをすべてのデータ利用者に提供すること。もう1つは、データ利用者がデータの物理的な配置場所を意識しないことです」(椛田氏)

 SAP Datasphereは、さまざまなデータソースと仮想的、物理的な連携が可能だ。仮想テーブルを通じて透過的にソースシステムにアクセスしたり、物理テーブルとしてスナップショットやレプリカを置いて高速にデータアクセスすることもできる。柔軟なデータ配置はDWHやデータレイクに俊敏性をもたらす(図4)。

図4:SAP Analytics CloudとSAP Datasphereでデータを最大限に生かす
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 最後に椛田氏は「SAPは、SAP S/4HANAのビジネスコンテキストを生かし、短期間でデータ利活用を実現するクラウドソリューションを提供します。SAP S/4HANAのデータを最大限活用しながら、企業が持つ多種多様なデータを統合管理していくことができます」と話し、講演を締めくくった。


●お問い合わせ先

SAPジャパン株式会社

フリーダイヤル 0120-786-727
Web https://www.sap.com/japan/registration/contact.html
製品URL https://www.sap.com/japan/products/hana/cloud.html

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