米Robust Intelligence(ロバストインテリジェンス)は2024年5月20日、AIセキュリティサービス「AI Firewall」を発表した。AIアプリケーションの入出力をリアルタイムで監視し、有害な入出力をブロックする。各種セキュリティフレームワークが規定している重要なリスクからAIアプリケーションを保護する。
米Robust Intelligence(ロバストインテリジェンス)の「AI Firewall」は、生成AIを安全に利用するためのセキュリティサービスである。生成AIを用いたアプリケーションと利用者の間に入って、AIへのプロンプト入力と、AIによる出力の両方をリアルタイムで監視し、有害な入出力をブロックする。日本語の大規模言語モデルにも対応している(図1)。
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「AIを対象に、ファイアウォールによるリアルタイムな防御を必要とする攻撃が増えている」(同社)ことからサービスを提供する。攻撃の例として、「データポイズニング」(生成AIの学習データに有害な操作を施す)、「プライバシー攻撃」(AIモデルやデータから機密情報の漏洩を狙う)、「プロンプトインジェクション」(AIモデルに本来想定されていない挙動を促す)などを挙げる。
各種セキュリティフレームワークが規定している重要なリスクからAIアプリケーションを保護する。例えば、「OWASP TOP 10 for LLM」「MITRE ATLAS」、米NIST(国立標準技術研究所)の「Adversarial Machine Learning Taxonomy」などをカバーする。機密情報(個人情報、PII)の抽出、準拠すべき文脈と出力との矛盾の指摘などが可能である。
APIを呼び出す形で利用可能で、既存のAIアプリケーションに大幅な改変を加えることなく導入できる。初期ユーザーとして、すでに国内の大手保険会社が導入を開始しているという。
Robust Intelligenceは、2019年に米ハーバード大学の研究者らが創業したスタートアップ企業である。累計90億円を調達し、AIリスク管理の製品・サービスを提供している。AIアプリケーションを保護するAI Firewallのほかに、AIモデルとデータに対するテストを実施する「AI Testing」を提供している。