エクサウィザーズは2024年6月10日、子会社のExa Enterprise AIが自社主催セミナーの参加者を対象に実施した、生成AIの利用実態調査の結果を発表した。調査では、RAG(Retrieval Augmented Generation:検索拡張生成)による社内データ連携に約5割(48.2%)が取り組み済み/取り組み中と回答した。
エクサウィザーズ子会社のExa Enterprise AIは、2024年12月12日に開催した自社セミナーの参加者(302社402人)を対象に、生成AIの利用実態調査を実施した。今回が4回目の調査となる(関連記事:ChatGPTなど生成AIを業務で日常使用する企業が3割を超える─エクサウィザーズ調査)。
調査では、2023年4月の第1回調査から、「ChatGPT」などの生成AIの利用状況を、レベル1(関心なし)、レベル2(関心はある)、レベル3(試しに利用)、レベル4(時々使用)、レベル5(日常的に使用)の5段階に分類している(図1)。
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今回の調査では、レベル5の「業務に取り入れて日常的に使用している」と回答した人は35.8%で、前回調査(2023年12月)の31.5%からは4.3ポイント増えた。第1回調査(2023年4月)では1割弱だったが、今回で4割弱まで増えた。
今回の調査では、RAG(Retrieval Augmented Generation:検索拡張生成)による社内データ連携の活用状況も聞いた。取り組み済みと取り組み中を合わせて約5割(48.2%)、関心ありが約4割(41.3%)だった。取り組み中の内訳は、30.8%が検討・開発中、13.4%が取り組み済みで定着化はこれから、4%は生産性が向上し定着化が進んでいる(図2)。
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生成AIの活用レベルが上がり、日常的に使っている企業の割合が増えたことが、RAGの活用にもつながっていると同社は見ている。「生成AIの活用はRAGの活用が前提の時代へ移行した」(同社)と指摘している。
一方、調査からはRAGの課題も判明した。特にデータに関わる課題が多く、「必要な情報がデータ化できていない」(40.8%)や「データはあるが形式はバラバラ」(40.8%)などが挙がった(図3)。
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生成AIの活用レベルが高い組織では、データに関わる課題から「前処理が不十分で精度が上がらない」(29.0%)という課題や「利用者や経営陣の期待値が高すぎる」(16.8%)という課題へと移っていくこともうかがえた。
生成AIを導入した部門については、前回調査(2023年12月)よりも全社導入がさらに拡大した。「全社的に導入」との回答は、前回は約3割(34.2%)だったが、今回は6割弱(54.9%)と半数を大きく上回った(図4)。同社は、「全社的な導入が広がったことで、社内での連携や共有が高まり、日常的に利用する『レベル5』の増加につながったものと考えられる」と見ている。
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生成AIの利用率については、依然として重要な課題である。今回の調査結果を見ると、「ほぼ使われていない」は減ったものの、「3割程度の社員」以下が約7割弱を占めている。一方で、社内利用率100%の企業では、活用促進における平均施策数が前回調査の1.8から2.4に増えている。特に「プロンプトの共有」に取り組んでいる企業が5割超を占めている。
また、生成AIの利用定着化に必要なことを聞いたところ、3割弱(27.4%)が「社内データ連携(RAG)」と回答し、1位だった。特に、社内利用率が「8割程度の社員」以上と回答している企業では、RAGの活用が定着化に必要だと考えている割合が約4割を占めるという(図5)。
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