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三菱商事、OCRと生成AIで保証債務業務を効率化する検証、精度97%で必要情報を抽出

2024年7月25日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

三菱商事(本社:東京都千代田区)は、生成AIで経理業務を効率化する検証を2024年4月~5月に実施した。保証債務に関して契約書や残高証明書から情報を抽出するケースで97%の正解率、支払調書の提出が必要/不要を判定するケースで98%の再現率が得られたという。今後、生成AI適用のユースケースを広げていく。検証を支援したPwC税理士法人が同年7月25日に発表した。

 三菱商事の主計部(業務プロセス統括室)は、AI-OCR(光学式文字認識)と生成AIを用いて経理業務を効率化する検証を行った。検証はPwC税理士法人の支援の下、2024年4月~5月の2カ月間実施した(図1)。

 「財務・経理業務では、契約書や請求書などの大量の文書から、経理担当者が目視で必要な情報を抽出し、分類や入力などを行う手作業が多く発生する」(両社)という状況の下、検証した仕組みの有効性を測っている。

図1:AIを活用した自動処理フローの概要(出典:PwC税理士法人)
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 財務・経理領域における生成AIのユースケースとして、問い合わせ対応(チャットボットなど)が一般的だが、今回の検証では、実際の保証債務プロセスの中に生成AIを取り入れている。

 具体的には、有価証券報告書などの開示資料作成に必要になる保証債務に関する情報(被保証先会社、証極度額、保証残高など)を契約書や残高証明書などから抽出し、データベースとなる一覧表を作成した。

 検証の結果、平均97%の正解率で必要な情報の抽出を実現した。さらに、税務申告の1つである支払調書の作成あたって、請求書から「会社名」や「摘要」などの情報を抽出し、支払調書提出の必要/不要を判定し、98%の再現率が得られたという。

 検証に用いたAIシステムの構築において、生成AIの回答精度を高めるためにプロンプトを工夫。三菱商事による過去の判定結果や社内マニュアルを検索して得た情報を基に回答を得られるようにした。また、支払調書の提出要否判定では、税法上の定義をそのままプロンプトに反映しても精度向上につながらなかったため、PwC税理士法人のアドバイスを基に、より具体的な事例や説明を付与することで精度を高めている。

 また、保証債務の開示基礎資料の作成にあたっては、契約書、残高証明書、保証書など各種データから必要な項目のみを抽出する必要があり、プロンプトの改善だけでは精度の向上につながらなかったという。これに対しては、「契約書専門AI」や「残高証明書専門AI」といった複数のAIモデルを組み合わせることで精度向上を図った。

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