[調査・レポート]

シャドーITの現状は? 国内企業の43.3%は非IT部門がクラウドサービスを選定・交渉─ガートナー

2024年9月5日(木)IT Leaders編集部

ガートナージャパンは、国内企業のビジネス部門のDX/業務デジタル化の取り組みのうち、「シャドーIT」の現状を調査した結果を発表した。回答企業の43.3%はIT部門以外の部門でクラウドサービスを選定・交渉していることが判明した。

 ガートナージャパンは、国内企業のビジネス部門の業務デジタル化の取り組みのうち、「シャドーIT(Shadow IT)」の現状を調査した結果を発表した。調査対象は、国内のユーザー企業で、ITシステムの構築・導入・保守・運用およびサービス委託先の選定に関与している担当者である。

 「エンドユーザーが社内に公知せずに導入するシャドーITは極力避けるべきもので、IT部門が管理・統制することが望ましいとされてきた。しかし、昨今はビジネス部門が主導するデジタルトランスフォーメーション(DX)の増加やクラウドサービスの普及により、ビジネス部門みずからがITを選定・導入する機会や環境が整ってきている。深刻化するIT需要とIT部門の人材不足を背景に、シャドーITへの見方に変化の兆しが出てきている」(同社)

 DX関連プロジェクトにおいて、ITベンダーをどの程度活用しているかを聞いたところ、回答企業の7割以上がITベンダーを活用している(「積極的にITベンダーを活用」と「必要に応じて補完的にITベンダーを活用」の合計)ことが明らかになった(図1)。

図1:DXプロジェクトの取り組みにおけるITベンダー活用状況(出典:ガートナージャパン)
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 また、DXプロジェクトで特に利用頻度が高いクラウドサービスにおいて、ITベンダーと選定・交渉する組織を聞いたところ、43.3%がビジネス部門側の意向が反映されやすい「非IT部門(既存のビジネス部門、IT部門と共同で新設した専任部門、部門横断的なチームなど)」で選定・交渉が行われていると回答している。

 「内製化への取り組みが話題になる中、調査結果からは依然としてITベンダーのニーズが高いことが判明した。管理を担うすべきIT要員が慢性的に不足している状況から、今後もシャドーITは減ることはなく、むしろ増えると見ている。シャドーITのリスクを低減しつつ、適切な形でビジネス部門に一部のIT調達を委ねる仕組みを検討することは、企業にとって喫緊の課題と言える」(同社シニア ディレクター アナリストの土屋隆一氏)。

 ガートナーは、全社共通のフレームワークによって取引リスクを評価し、低リスクの取引についてはビジネス部門の権限と責任の下に調達を委ねる仕組みを「セルフサービス」と称している。「セルフサービスはIT部門が存在を掌握できていないシャドーITとは意味を区別している。企業は今後、ビジネス部門のセルフサービスによる調達を増やす必要に迫られている」(同社)。

セキュリティ評価や既存システムとの互換性検証が不足

 調査では、ビジネス部門が主体的にクラウド調達に関わっていると回答した43.3%の企業に対し、実際の効果と課題について尋ねている。ビジネス部門が実現できた効果として最も多く挙げたのは、「ビジネス部門の要件を最大限織り込んだサービスを調達できた」だった(57.6%)。

 また、ビジネス部門が主体となってクラウドを調達する際の課題については、「課題がない」との回答は全体の6.2%にとどまり、残りの93.8%は何らかの課題を抱えている。

 個別の回答を見ると、「ベンダーへのセキュリティ評価がされない、あるいは不十分(39.3%)」「調達するサービスと周辺システムとの互換性が検証されない、あるいは不十分(38.8%)」の2つが多く、シャドーITに対して以前から持つ懸念事項が根強いことが改めて浮き彫りになった(図2)。

図2:ビジネス部門がベンダーの選定・交渉を担当することで生じている課題(複数選択可)(出典:ガートナージャパン)
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●Next:回答企業の3割が「ITベンダーへのデューデリジェンスの不足」を認識

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