丸紅(本社:東京都千代田区)は、SAP ECC 6.0の保守が2027年末に終了することを受け、基幹業務システムの刷新プロジェクトを段階的に進めている。ERPに「GRANDIT」を採用し、2023年10月に最初の移行として、国内の2本部および2事業会社で新システムの運用を開始した。プロジェクトを支援する双日テックイノベーションが2024年10月24日に発表した。
総合商社の丸紅は、運用中の「SAP ERP Central Component(SAP ECC)6.0」の標準保守が2027年末に終了することを受け、基幹業務システムを段階的に刷新するプロジェクトに取り組んでいる。
プロジェクトの始動は2020年10月1日で、丸紅の本部・事業会社に順次展開する計画で進めている(関連記事:丸紅が基幹システムの刷新に着手、SAP S/4HANAとGRANDITを段階的に導入)。
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新基幹システムは、SAP ECCシステムのスコープを3つの領域(単体会計領域、海外領域、国内営業および事業会社会計領域)に分け、それぞれに適したERPパッケージを導入して構築する(図1)。
このうち、国内営業および事業会社会計領域は、商社業務への適合性が高い国産ERPアプリケーションとして「GRANDIT」を採用している。アドオン開発を削減することで、コスト削減とシステムの複雑化の解消を図る。2029年末までに10営業本部・20事業会社に順次展開する。
導入支援を、GRANDITコンソーシアムの1社で、親会社を含めた双日グループをはじめ商社関連企業への導入実績を持つ双日テックイノベーション(2024年7月に日商エレクトロニクスから社名変更)が担当。 2023年10月に最初の導入として、素材産業グループの化学品本部、食料・アグリグループのアグリ事業本部と、丸紅プラックス(本社:東京都文京区)、丸紅ケミックス(本社:千代田区)の2事業会社で運用を開始した。
導入効果として、各領域に最適なERPを採用することによって追加機能の開発を最小限に抑えている。双日テックイノベーションは、すべてをSAP ECCの後継である「SAP S/4HANA Cloud」で再構築する場合と比較して3割以上のコスト削減を見込んでいる。
また、リソース投入と開発リスクの分散も挙げる。「SEの人件費が高騰し、開発に充てるリソースも逼迫する中、領域ごとに最適なERPを選択することによって導入をリソースを分散させ、段階的・効率的に進められている」(同社)という。
ユーザーにとっての利便性の面では、丸紅は新システムの下、紙ベースの承認ワークフローを電子化し、自宅や出張先から承認できるようにしている。化学品本部の場合、以前は承認に文書の印刷と捺印が必要で、出社しないと業務を進められなかったが、ペーパーレスに移行することができた。
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