日本HPは2024年10月30日、従業員と仕事との関係性をテーマにしたグローバル年次調査レポート「HPワークリレーションシップ・インデックス 2024(Work Relationship Index)」の概要を公開した。世界12カ国、各業界の1万5600人を対象に実施した調査では、業務環境のパーソナライゼーションの要望が非常に強いことが判明した。ナレッジワーカーの87%(日本88%)はそのためなら給与の減額も受け入れるという。仕事との健全な関係性を築けていると回答したナレッジワーカーは28%(前年比1ポイント増)、日本では9%(前年比4ポイント増)と差がある。
「HPワークリレーションシップ・インデックス 2024(Work Relationship Index)」は、米HPが実施した、従業員と仕事との関係性をテーマにしたグローバル年次調査である。生活における仕事の役割、スキル、能力、ツール、職場・ワークスペース、リーダーシップへの期待など、さまざまな側面について分析している。
調査は世界12カ国、各業界の1万5600人を対象に2024年5月10日~6月21日にかけてオンラインで実施した。調査対象の内訳は、ナレッジワーカー1万2000人(各国約1000人)、IT意思決定者2400人(各国約200人)、ビジネスリーダー1200人(各国約100人)である。
業務環境のパーソナライゼーションを強く要望
調査では、仕事におけるパーソナライズ体験がナレッジワーカーの普遍的なニーズであることがわかった。グローバルではナレッジワーカーの3分の2、日本では44%が、カスタマイズしたワークスペースや、希望するテクノロジーへのアクセス、柔軟な業務環境などを望んでいる。仕事との健全な関係性を築けていると回答した従業員は28%(前年比1ポイント増)、日本では9%(前年比4ポイント増)と差がある。
一方、現在、個人の好みに合わせて仕事体験をカスタマイズできているナレッジワーカーは、グローバルでは55%、日本では29%に留まった。「これらの体験は、仕事との関係性を改善するのに重要なものであり、従業員と企業の両方にプラスの影響を与える」(日本HP)。
パーソナライゼーションの要望は非常に強く、ナレッジワーカーの87%(日本88%)が、そのためなら給与の減額も受け入れるとしている。グローバルでは、受け入れられる給与の減額は平均14%、日本は平均26%の減額を許容すると回答している。
生産性を高めるためにAIをカスタマイズ利用
ナレッジワーカーのうち、仕事においてAIを利用している人の割合は、グローバルでは前年の38%から66%に急増、日本も25%から36%に増加した。AIの活用拡大は、Z世代やミレニアル世代が牽引している。
AIを活用している人のうち、グローバルでは73%、日本では58%が、AIを使うことで仕事が楽になると感じている(図1)。また、グローバルの69%、日本の46%が、生産性を高めるためにAIをカスタマイズして使っている。AIによって、仕事でのパーソナライズ体験が増えることが示唆されている。
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さらに、仕事でAIを利用しているナレッジワーカーは、利用していない人に比べて、仕事との関係性に満足している割合が11ポイント高い(日本では差異なし)。一方、AIを利用していないナレッジワーカーは、AIに仕事を奪われるのではという不安が高く、グローバルの37%、日本の32%が懸念を示している(グローバル、日本共に前年比5ポイント増)。
リーダーシップとスキルが仕事との健全な関係性を向上
日本のナレッジワーカーは、仕事との健全な関係性を高める主要な6つの促進要因(充実感、リーダーシップ、人中心主義、スキル、ツール、ワークスペース)のうち、リーダーシップとスキルに関する項目について、2023年よりも特に重要性を感じている(図2)。
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