[市場動向]

KDDIと三菱UFJフィナンシャル・グループ、金融特化LLMなど生成AIの開発・活用で協業を強化

2024年11月21日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

KDDIは2024年11月14日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)との協業関係を次のフェーズ(協業2.0)へと発展させる取り組みに両社で合意したと発表した。生成AIの開発・活用で提携するほか、KDDIが開発中の次世代リモート接客システムをMUFGのリモート接客に活用する。

 KDDIと三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、2008年開業のじぶん銀行(現 auじぶん銀行)の共同設立・運営を始め、15年以上にわたって協業を続けてきた。今回、事業環境の変化に合わせ、協業関係を次のフェーズ(協業2.0)へと発展させる。

 具体的には、生成AI領域に協業リソースをシフトし、生成AIの開発・活用についての戦略的提携を行うこと。さらに、KDDIが開発中の次世代リモート接客システムを、MUFGのリモート接客に活用することに取り組んでいく。

 生成AI領域での協業は、3つのステップを想定している(図1)。

図1:KDDIとMUFGによる、生成AIに関する協業のロードマップ(出典:KDDI)
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 KDDIは2024年4月、大規模言語モデル(LLM)の開発力を持つELYZAをグループに迎えるなど、LLMの提供体制を強化・整備している。MUFGは、AIを活用した顧客体験の提供などを目指している。同年9月には、グループ企業を通じ、KDDIも出資するAI開発企業のSakana AIに出資している。

 今後の協業では、両社が保有するアセットや知見に、ELYZAやSakana AIのAI開発・活用技術を掛け合わせて、下記の3ステップに分けて、金融事業の抜本的な改革を進めていく。

 ステップ1では、MUFG社内の大量のドキュメントのほか、社員が持つ金融領域の経験やノウハウを学習させた「金融特化LLM」を構築し、汎用LLMでは対応が難しい多くのシーン(顧客対応、社内外用ドキュメント生成、システム開発など)に活用することを目指す。

 ステップ2では、法律・規制データなどを含め、さらに多様なデータを学習させる。顧客ごとにパーソナライズしたAIがアドバイザーとなって、金融専門知識の有無に関係なく金融サービスを提供可能なサービスなど、金融業界の変革に役立つユースケースの創出に取り組む。ステップ3では、「金融特化LLM」を、広く金融業界に提供する。

 一方で、KDDIが開発中の次世代リモート接客システムを、MUFGのリモート接客に活用することに取り組む。コンビニエンスストアなどにリモート接客設備を設置することを検討している。MUFGの拠点配置が充分でない地域を含め、顧客にアクセス可能なポイントが広がることを見込む。

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