早期からプロセスマイニングを導入・活用するKDDIが、購買業務にもプロセスマイニングを適用した。Celonisの「Celonis Process Intelligence Platform」を用いて事前のPoV(価値検証)では2カ月をかけて購買依頼から納入・検収までのプロセスを検証・分析し、業務の実態を可視化。特にプロセスを時系列で追跡できる機能が有効だったという。Celonisが2025年1月21日に発表した。
早期からプロセスマイニングを導入・活用するKDDIが、購買業務にもプロセスマイニングを適用し、データドリブンな業務改善に取り組んでいる。
同社の購買・経理プロセス革新部は、全社の購買・経理業務の改革と安定運用を担い、月間3~5万件の購買伝票を約20人で処理している。繁忙期には件数がさらに増えるが、単純な人員増加には限界があり、発注処理や変更対応、納期調整などへの対応に問題を抱えていたという。
業務プロセスの要として、KDDIでは長年、日本オラクルのERPアプリケーション「Oracle E-Business Suite(EBS)」を運用しているが、プロセスの詳細な把握が難しく課題抽出に制約があるため、業務改善のアプローチが限定的にならざるをえなかった。加えて、購買から経理まで一連の業務が分断されており、特定の工程での遅延や手戻りによるボトルネックが発生しても全体像を把握するのが困難だった。
こうした中、購買業務プロセスの可視化を目指し、いったんはPC作業のログを取得するタスクマイニングツールを導入。だが、取得できるのは作業時間といった定量データに限られ、業務の内容や関連性を十分に把握できず、具体的な改善にはつながらなかったという経緯がある。
こうした課題を解決し、データを基にした業務改善を実現するため、Celonisのプロセスマイニングソフトウェア「Celonis Process Intelligence Platform」を導入した。Oracle EBSとの親和性などを評価したのと共に、社内では次世代自動化開発本部がすでにCelonisを導入していたため、データ接続などにおいて技術支援を得ることができた。
購買・経理プロセス革新部は2023年7月にCelonisのPoV(価値検証)を開始。2カ月をかけて購買依頼から納入・検収までのプロセスを検証・分析し、報告会を実施した。購買・経理プロセスの実態をデータとして可視化する中で、特にプロセスを時系列で追跡できる機能が有効だったという(図1)。

拡大画像表示
また、プロセスの全体最適化の重要性を体感するため、ボードゲームのモノポリー(Monopoly)に着想を得たプロセス可視化ゲーム「セロポリー(CELOPoly)」を活用し、部門間の視点を広げるのに役立てた。以前のタスクマイニングの導入経験から、「監視されているのでは?」という懸念も現場から上がったが、丁寧なコミュニケーションを重ね、プロセスの可視化は「監視ではなく改善」という意識が定着したという。
現在、購買・経理プロセス革新部は、可視化によって得られた知見を基に、RPAを活用した業務の自動化を進めて、購買と経理の業務を一連の業務として可視化し、前後の工程を含む全体最適化を目指している。特に、発注後変更(チェンジオーダー)の自動化に注力しているという。また、KDDIは今回の導入に続いて、監査業務へのプロセスマイニングの適用を検討している。