ユニ・チャーム(本社:東京都港区)は、生成AIを用いたチャットツール「UniChat」を構築し、国内約3000人の社員を対象に2024年8月より運用している。法務部門では、問い合わせ件数が1人あたり月100件から3件に減少、問い合わせ対応に要する時間が1人あたり月17時間から30分にまで短縮されたケースがあったという。現在、経理・人事、情報システムなど複数の部門に利用が拡大している。開発と導入を支援したブレインパッドが2025年1月27日に発表した。
衛生用品大手のユニ・チャームは、生成AIを用いたチャットツール「UniChat」を構築し、国内約3000人の社員を対象に2024年8月より運用している。
UniChatの開発と導入をブレインパッドが支援している。2023年12月にGoogle Cloudの「Gemini」および「Vertex AI Agent Builder」(画面1)を用いてPoC(概念検証)を開始、根幹となるデータの整備を進めた。PoCでは質問に対する正答率が90%に達したという。同時に、チャットの利用状況の分析結果を基にUIをブラッシュアップしていった。

拡大画像表示
半年間のPoCを経て、2024年8月より法務部門がUniChatの活用を開始した。同部門が受ける問い合わせは簡易なものが多いが、これらの対応が同部門のコア業務を圧迫していた。部員1人あたり月100件程度、約17時間をかけていたという。
UniChatの導入後、問い合わせ件数が1人あたり月100件から3件に減少、問い合わせ対応に要する時間が1人あたり月17時間から30分にまで短縮されたケースがあったという。
法務部門における成果を踏まえ、同年10月からは人事・経理、情報システム、知財など複数の部門にUniChatの利用を拡大している。
知財部門においては、社内データに加えて、特許庁が提供するデータソースをUniChatに学習させ、要約の生成と資料化までを自動化している。同部門は、特許情報を利用した新規開発など、業務効率化だけでない新たな価値を生むための生成AI活用にも取り組む予定である。
また、特定部門への問い合わせだけでなく、従業員がどの部門に聞けばよいのか分からない場合にも回答が得られる全体横断型のチャット窓口を開設。これにより、UniChatの利用率は以前の約1.3倍に上昇したという。