[調査・レポート]
「従業員の学び」と「組織の成果」は明確に結びついているか?─ベネッセ、村田製作所の共同調査
2025年3月27日(木)神 幸葉(IT Leaders編集部)
ベネッセコーポレーションは2025年3月25日、村田製作所と共同で実施した「学びと組織成果の関連性」に関する調査結果を発表した。同調査では、従業員個人の学習が組織全体の成果に繋がるメカニズムを分析。その結果、組織における知識の共有や活用、心理的安全性の確保、そして学びを生かすためのラーニングカルチャーの醸成といった取り組みが組織成果につながる可能性が示唆されている。
労働人口減少時代に求められる「組織力の開発」
デジタルトランスフォーメーションを始めとする経営戦略の変化に伴い、多くの企業で、これまでと異なる人材が求められる傾向が表れている。ベネッセコーポレーション マーケティング統括部 データ戦略推進責任者の大塚卓氏(写真1)によると、「労働人口が減少する中、従業員全員の戦略化を目指した人材マネジメント、戦略人事が重要視されている」という(図1)。

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大塚氏は、「戦略人事を推進するためには、タレントマネジメントの改革、企業と働く人の新たな関係構築に加え、組織力の開発が不可欠である」と指摘。 組織力開発のためには、個人の学習による知識獲得、その学びの活用による組織変化の2軸が重要であるという。

共同調査で「学びへの投資対効果」を検証
生成AIを筆頭にテクノロジーの進化も影響し、働き方に大きな変化が訪れている。従業員個人にとっても、従来のスキルだけでは活躍を続けることが難しい状況になりつつあり、企業・従業員の双方にとって、多くの局面で学び、リスキリングによる新たなスキルの習得が求められている。
電子部品の開発・生産・販売を行う総合電子部品メーカーの村田製作所(本社:京都府長岡市)は、2022年4月からベネッセコーポレーションが提供する企業向けeラーニング 「Udemy Business」を導入している。同社は2021年に発表した中期経営課題の1つにDX推進を掲げており、「個人を変える」「組織を変える」の2軸でDX人材育成・強化施策を推し進めている。eLearningの導入はその一環である。
人材育成を進めるうえで、中長期的な学びへの投資対効果(ROI)の検証の難しさや、個人学習と組織成果との関連性が不明であるといった課題も見えてきたという。実際、従業員の学びが組織の成果にどのように結びついているかを検証することは難しく、これまであまり研究が進んでこなかった。
そこで従業員の学びと組織成果の関連性を検証すべく、2024年11月、ベネッセとの共同調査に取り組むことになった。調査対象は、村田製作所のUdemy Business利用者で、同年1~8月に学習経験のある2089人である。
●Next:組織成果につながる学び、学習を推進するポイントとは
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