NECは2025年5月12日、顔認証とAIカメラを組み合わせた入退管理システムを発表した。低照度や逆光・斜光などで設置が難しかった業種・環境での入退管理システムの運用を可能にする。2025年10月からNECのセレスティン芝三井ビルディングで先行導入する。
NECは、顔認証とAIカメラを組み合わせた入退管理システムを販売する。AIカメラにより、窓がなく十分な照度を得にくい工場や倉庫、夜間に照度が変動する店舗、外光の影響を受けやすいテーマパークやスタジアムなど、これまで設置が難しかった施設で顔認証システムを導入できるようにする(図1)。

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AIカメラに、ソニーセミコンダクタソリューションズのエッジAIセンシングデバイス「AITRIOS(アイトリオス)」の技術を採用する。写真1は入退管理システムのAIカメラで、手のひらサイズの筐体にイメージセンサー、AI処理チップ、カメラレンズなどを搭載。これに、NEC開発の光環境の変化に強いAIモデルを組み合わせている。

「顔認証技術の性能や信頼性は、設置環境に大きく左右される。特に、低照度、逆光、斜光などの条件下では認証精度が低下する。そこで、AIカメラと光環境に強いAIモデルを組み合わせることで認証精度の問題を解決している」(NEC)
AIカメラの採用によって、導入・運用コストを抑えながらセキュリティレベルを高められるとしている。「状況に応じてリアルタイムで画質を最適化し、カメラ内部で顔の特徴量を抽出する。この仕組みにより、カメラごとの設定調整や運用管理の手間が少なくて済む。また、顔画像をクラウドに送信する必要がないことで個人情報の漏洩リスクを低減する」(NEC)。
価格(税別)はカメラ1台と関連ソフトウェアで13万4000円から。AITRIOS、エッジ制御端末、認証プラットフォーム費、入退システム、構築、保守費は含まない。
NECは、販売目標として3年間で100社以上を掲げる。まず、NECのセレスティン芝三井ビルディングが先行導入し、2025年10月から利用開始する。ソニーセミコンダクタソリューションズのグループ会社も利用も検討している。