[事例ニュース]

JAL、RAG構成の生成AIシステム「JAL-AI」を構築、グループ全社員が活用

社内ナレッジ/マニュアル検索や顧客の問い合わせ対応に利用

2025年5月27日(火)IT Leaders編集部、日川 佳三

日本航空(JAL、本社:東京都品川区)は、RAG構成の生成AIシステム「JAL-AI」を構築し、現場のスタッフを含むグループ全社員に利用を促している。社内ナレッジや整備部門向けマニュアルの検索、空港での顧客からの問い合わせ対応などで活用している。開発を支援するアバナードが2025年5月26日に発表した。

 日本航空(JAL)は、RAG(検索拡張生成)構成の生成AIシステム「JAL-AI」を構築し、現場のスタッフを含むグループ全社員に利用を促している。社内ナレッジや整備部門向けマニュアルの検索、空港での顧客からの問い合わせ対応などで活用している。

 JALは、2023年4月に生成AIのワーキンググループを立ち上げてプロジェクトを進めたものの、RAGの回答精度に問題があることが判明したという。改善に向けてアバナードに支援を仰ぎ、2024年1月にプロジェクトを再始動。社内ナレッジの検索・活用、他システムの検索・活用(API連携)、議事録の自動生成による業務効率化、整備部門向けのマニュアルなどの文書検索・活用をユースケースに据えてJAL-AIの開発に取り組んだ。

 オフィス勤務の社員だけでなく、タブレット端末を利用する空港や機内、整備場など現場のスタッフを含むグループ全社員の利用を促進。2024年度には間接部門に所属する社員の実質100%が利用するまで利用が広がったという。

 運用開始後も、ドライブ内ファイルの検索機能を追加するなど、随時アップデートを行っている。社内の文書・資料を取り込むRAGについて、評価と改善のPDCAサイクルを回して回答精度の向上に努めている。

 空港業務の効率化に向けては、機能特化の形で切り出した「空港JAL-AI」をリリース。グランドスタッフが顧客から受けた問い合わせをiPadで検索すると、適切な対応を提示してくれる。ほかには、チェックインカウンター向けの危険物検索アプリ、イレギュラーな空港内アナウンス文の生成アプリ、ラウンジ入場条件検索アプリなどを構築し、各現場で活用している。

 JALによると、導入前検証時のアンケートでは、危険物検索とイレギュラーアナウンス文生成の評価が高く、グランドスタッフの9割以上から「顧客への回答速度が向上した」「アナウンス文章の作成速度が向上した」という声が上がったという。「ラウンジ入場条件検索も、ラウンジスタッフの7割以上が「回答速度が向上したと評価している」(JAL)。

 JALは、「単一のインタフェース/マルチデバイスで、複数の業務に使えるAI」の実現を目指している。今後、実現に向けて、社内の全ナレッジを取り込めるように、業務システムとのAPI連携や、社内ポータル上の情報のクローリングといった仕組みに取り組む。

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