ガートナージャパンは2025年8月5日、「日本におけるクラウドとAIのハイプ・サイクル:2025年」を発表した。全部で34個の項目があり、「過度な期待のピーク期」にはAIエージェントやV2Cマイグレーション(クラウド移行)など7個をプロットしている。RAG(検索拡張生成)は「幻滅期」に入ったばかりとし、「黎明期」にエージェンティックAI、MCP、A2A、フィジカルAIなどをプロットしている。
米ガートナー(Gartner)のハイプサイクル(Hype Cycle)は、テクノロジーやサービス、関連する概念、手法などの項目の認知度や成熟度を視覚的に示したグラフである。テクノロジーが普及するまでに通過する5つの時期をハイプカーブと呼ぶ曲線で表し、各項目が現在どの時期にあるのかを示している。
今回、ガートナージャパンが「日本におけるクラウドとAIのハイプ・サイクル:2025年」を発表した。合計34項目をプロットしている(図1)。

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「過度な期待のピーク期」には、AIエージェントやV2C(Virtual-to-Cloud)マイグレーション、再仮想化など7項目をプロットしている。「幻滅期」には、IaC(Infrastructure as Code)やクラウドネイティブなど7項目が並ぶ。
「黎明期」には、エージェント型AI(エージェンティックAI)、MCP(Model Context Protocol)、A2A(Agent2Agent)プロトコル、フィジカルAI、M2C(Mainframe-to-Cloud)マイグレーションなど17項目をプロットしている。
ガードナージャパンは、ユーザー側のAIへの関心が高まり、実践的な取り組みも加速度的に進展している中で、「AIは比較的早い段階で成熟期に達する」と見ている。
「現在のAIの進化はインターネットの進化に類似している。AIは今後、AGI(汎用人工知能)、ASI(Artificial Superintelligence:超知性)に向けて進化していく。一方、AI領域の多くのイノベーションはハイプ(過熱)しやすい傾向がある」(同社)。なかでも近年注目が集まっているエージェンティックAIはハイプの典型だという。
一方、クラウド関連技術は登場から相応の年月が経過しているにも関わらず、企業での活用が限定的にとどまっていると指摘。成熟までには想定以上の時間を要しているとした。
同社 ディスティングイッシュトバイスプレジデント アナリストの亦賀忠明氏は、「AIエージェントウォッシングに留意しながら、過度な期待や過小評価に陥らず、自社に合った導入戦略と展開のタイミングを見極める必要がある。データ基盤整備や人材のケイパビリティ(スキル・マインドセット・スタイル)獲得を着実に進めていくことが重要だ」と助言している。