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オラクル、ERPやHCMなどの「Fusion Cloud Applications」に13種のAIエージェントを追加
2025年10月17日(金)IT Leaders編集部、日川 佳三
米オラクルは2025年10月15日(米国現地時間)、SaaS型業務アプリケーション群「Oracle Cloud Fusion Applications」で利用可能な13種のAIエージェントを追加したと発表した。ERP/EPM、HCM、SCM、CXの各領域にわたって業務特化のAIエージェントを用意する。
米オラクルのSaaS型業務アプリケーション群「Oracle Cloud Fusion Applications」は、ERPおよびEPM(Enterprise Performance Management:企業経営管理/企業業績管理)、HCM(人事・人材管理)、SCM(サプライチェーン管理)、CX(顧客体験管理)の各領域をカバーしている。
図1:「Oracle Cloud Fusion Applications」におけるAIエージェントの基本構成(出典:日本オラクル)拡大画像表示
今回、各領域にわたって計13種のAIエージェントを追加した(図1)。請求書の処理を自動化するエージェントや、従業員の昇進・キャリア開発を計画するエージェント、見積から購買依頼を作成するエージェントなどがある。「Oracle Cloud CX」については2025年10月6日に15種のAIエージェント追加を発表しており、今回発表された追加分と一部重複している(関連記事:オラクル、顧客体験クラウド「Oracle Cloud CX」に15種のAIエージェントを追加)
追加したAIエージェントの内容は以下のとおり。これらのAIエージェントを、AIエージェント開発環境「Oracle AI Agent Studio for Fusion Applications」で構築している(関連記事:日本オラクル、AIエージェント開発環境「Oracle AI Agent Studio」を2025年夏に提供、業務タスクを自動実行)。
Oracle Cloud ERPおよびOracle Cloud EPM
- 買掛エージェント:AP(Accounts Payable:買掛金)チーム/担当者を支援する。メール、ポータル、EDI/電子請求書プラットフォーム、PDFから請求書を取り込み、データを抽出して正規化し、購買オーダーや受入との突合、配布や会計処理、税の適用、ポリシー・不正チェック、承認から支払までのルーチンを実行する。人手を介さない処理を促進し、手作業やエラーを減らすほか、コンプライアンスを強化する。
- 元帳エージェント:経理チーム/担当者を支援して、財務を可視化する。元帳監視のためのプロンプトを自然言語で設定できる。AIが内容に応じて問い合わせ、説明と補足情報を提供し、仕訳を自動作成する。
- プランニングエージェント:FP&A(財務計画・分析)チーム/担当者を支援する。自然言語からリアルタイムな傾向と差異を分析し、財務/業務データを基にイベントドリブン型予測を実行し、シナリオのシミュレーションを支援する。計画サイクルの短縮や精度の向上、部門横断の意思決定を促進する。
- 支払エージェント:財務チーム/担当者によるキャッシュアウトフローの最適化と支払オプション拡大を支援する。早期支払いやバーチャルカード、財務オプションの評価と管理、サプライヤーのオンボーディング、取引銀行システムとの連携、承認や例外の監視などを行う。
Oracle Cloud HCM
- チーム連携アドバイザーエージェント:スタッフとマネジャーが効果的な面談を実施できるように支援する。従業員の業績進捗・課題・要望に関する週次アップデートを送信し、次に取るべき行動をまとめた要約と、面談を効果的に進めるためのフォローアップ質問をマネジャーに提示する。
- タレントアドバイザーエージェント:マネジャーがスタッフの昇進やキャリア開発を計画できるように支援する。目標、パフォーマンス評価、面談、フィードバック、功績のデータを活用して各人のパフォーマンスを把握し、昇進や昇給など次に取るべきアクションについてマネジャーからの質問に回答する。
- マネジャーコンシェルジュエージェント:マネジャーがチームを効果的に率いることを支援する。報酬、休暇、タレントマネジメント、雇用情報に関する問い合わせに回答する。質問を適切な担当者に割り当てる。
Oracle Cloud SCM
- 見積から購買依頼作成エージェント:調達・購買チーム/担当者を支援する。見積もりから購買申請のプロセスを自動化して手作業を削減する。時間を短縮し、エラーを最小化する。メール経由で受領したサプライヤーの見積を基に見積明細付きで購買依頼を作成する。
- フルフィルメント処理アシスタントエージェント:フルフィルメント(物流拠点)のマネジャーを支援する。緊急出荷依頼を効率化し、ピッキング・梱包・発送プロセスを簡素化する。オーダー状況を取得し、ピッキングを開始し、最適な梱包を推奨し、発送を実行することで優先度の高い注文を迅速に処理する。
- 受注オーダーアシスタントエージェント:カスタマーサービスチーム/担当者を支援する。受注オーダーを作成するほか、顧客、商品、価格、プロモーションの詳細を受注オーダー情報に追加し、在庫を確認しながら配送スケジュールを設定する。
Oracle Cloud CX
- アカウント製品適合エージェント:マーケティング担当者が購買の可能性が高い顧客を優先して対応できるように支援する。理想的な顧客プロファイル(ICP)や予測スコアリング、アカウントデータ、エンゲージメントシグナルデータを利用し、購買意欲が高い顧客を特定する。
- 商談アドバイザーエージェント:営業担当者が商談を迅速にクロージングできるように必要な情報を提供する。製品や価格概要、製品・サービスガイド、ユーザー事例、ユースケースなどから必要な情報を自動抽出し、見込顧客に提供できるようにする。
- エスカレーション予測エージェント:サービス担当者がエスカレーションのリスクが高いサービスリクエストを事前に特定できるように支援する。リクエストの属性に基づいて顧客の感情を分析し、エスカレーションの可能性が高いリクエストを予測する。

































