さまざまな意見を持つ人々から効率的に集団知を導き出す──。未来の出来事を市場メカニズムにより予測することから、これを「予測市場」と呼ぶ。選挙結果の予測や新商品開発、サービス改善など多方面での利用が考えられている。国内外の先進事例を分析し、予測市場を上手に活用するための制度設計や運営のポイントを探る。
※本稿は野村総合研究所発行の「知的資産創造Vol.15 No.12」に掲載した記事に加筆して掲載しています。
不確実性に溢れている世の中で未来を予測するのは難しい。それでも我々は次に何が起きるのか、いつも予測しながら暮らしている。そうした予測はどれほど信頼できるのだろう。
天気予報はピタリと当たるほうが珍しい。エコノミストの予測は発言の意図が曖昧で、予測というより希望的観測と思えることもある。予測の当たり外れを後から総括することは滅多になく、大きく外れても責任を問われないので、予測の精度は低くなる。
天気予報ならまだしも、需要予測に失敗したら大ごとだ。傘が無くて雨に濡れる分には我慢もできるが、企業活動について言えばそう簡単に済ませられる問題ではない。少なめに見積もり過ぎれば供給不足で機会損失が発生するし、過大な予測で大量の在庫を抱える羽目になればもっと悲惨なことになる。最終的な意思決定をする経営層の責任は重い。その決断一つで多くの従業員が路頭に迷うかも知れないのだ。
2006年に翻訳出版された一冊の書籍がビジネス界でも話題になった。邦題は『「みんなの意見」は案外正しい』(原題:The Wisdom of Crowds)。
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