不景気の荒波を乗り越えよ─IT部門への8つのアドバイス
2008年12月24日(水)CIO INSIGHT
今日の経済環境ではIT部門の予算獲得は大変厳しいものがある。一方でITサービスに対する要求は増すばかりである。経費を削減しながら、これまでと同じか、あるいはそれ以上のサービスを提供せよという会社の要求に、どうやって立ち向かったらよいのだろうか。経営資源の有効活用をコンサルティングするイクア・テラ社は、IT部門がこの嵐を乗り切るための8つのアドバイスを提唱する。(翻訳 : 古村 浩三)
アドバイス1
裁量の範囲を明確にする
課題:あなたが200人のスタッフでアプリケーションの開発・運用に取り組んでいると仮定しよう。そのうち50人はメンテナンス、別の50人は定常的な変更作業、残り100人は新しいプロジェクトに参加しているとする。そこであなたはコストを20%削減せよと命令された。どのようにすれば実現できるだろうか?
コストを削減しなけらればならないというプレッシャーの下では、最終的には自分の裁量で決められる部分と、そうでない部分とを明確にすることになる。その裁量内で「あったらよいな」といった程度の案件がもっとも影響を受けることになる。
解決策:仕事を依頼してきた部門と一緒に、何が現在の段階で最もビジネスに価値をもたらすか、何が将来に価値をもたらしてくれるものかを評価し、それをベースに優先順位を付けよう。自由裁量の効く範囲でプロジェクトを縮小していくことにより、20%のコストカットを実現できるかもしれない。
もしそれが不可能だったら、必要な仕事をもっと安いコストで仕上げる方法を見つけなくてはならない。アウトソーシングまたはオフショアリングは選択肢の1つとなる。既にアウトソーシングで対処しているのであれば、アウトソース先との関係を拡大し、より多くのサービスの提供を受けることができるようにすべきだ。
アドバイス2
アウトソーシング契約を見直す
課題:経済情勢が下降線をたどっている時は、IT部門は既存のアウトソーシング契約を再交渉して、コストの削減や作業の合理化を図ることを期待されることが多い。
解決策:議論できない提案はない。経済危機の時、サービス提供者側は長期にわたって健全な関係を維持するため、短期への契約期間の変更にも応じるものだ。たとえばあるネットワーク機器のメーカーは、ドットコムバブルがはじけた後、自社の機器を扱っているITサプライヤーと協力して、契約価格や付帯条件を現状に即した形で見直した。
ある自動車メーカーは、経済情勢が悪化している時には、すべての部品納入業者に「誰もが損失を受け入れる必要がある」と説いている。自社の収益が落ちている時には、サービスへの支出は減らさなくてはならない。そういった状況はほとんどのサービスプロバイダーが尊重してくれる。
アドバイス3
未使用の資産を整理する
課題:レイオフや規模縮小が全社で行われるようになると、IT部門は使われなくなったデータセンターやデスクトップ、その他の機器を抱えることになりかねない。これらの資産やアプリケーションを整理しなくてはならないが、それを社内で遂行するための資金を確保できる見込みがない。
解決策:サービスプロバイダーと協力して、ハードウェアやソフトウェアの再整備、メンテナンススケジュールの見直しを行いながらインフラを統合し、スタッフの減少に備えよう。
アドバイス4
IT部門の真価を示す
課題:厳しい経済状況下において、IT投資は全社的なお金の節約や生産性の向上に寄与するということを、積極的かつ革新的に実証していかなくてはならない。
解決策:ビジネスパートナーと協力して、ITが現業部門の予算を減らすことに役立つ具体的な方法を提示することだ。たとえば従業員や顧客がセルフサービス方式で簡単に情報を取得できる仕組みを作り、これまでいちいちコールセンターに頼らざるをえなかったストレスを減らすことを考えればよい。IT予算を削減することにならないものの、他の部門でのコスト削減と顧客満足向上の両立を示すことができる。
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