[技術解説]

加速するパラダイムシフト─ネットの技術・文化が企業システムに革新迫る

ネット技術8つの最前線 Part2

2009年8月18日(火)IT Leaders編集部

インターネットのサービスや技術の進化を個別に見ると、小さな動きにしか感じないかもしれない。だが、すべてを俯瞰したとき、ITが新たなパラダイムの入り口に差しかかっていることが浮き彫りになる。インターネットが企業システムに与えるインパクトを整理する。

電車や街中で携帯電話を片手にメールを送受信したり、Webサイトを閲覧したりする光景は、今では珍しくなくなった。待ち合わせ時刻までのわずかな空き時間に携帯電話のワンセグ放送を視聴する人も少なくない。

振り返れば、携帯電話のインターネットサービス「iモード」がスタートしたのは1999年のこと。それからわずか10年で携帯電話は一気に高機能化が進み、メール、Web、テレビを楽しめるモバイル端末として定着した。

このように真新しさといい、実装までのスピード感といい、消費者向けのIT環境が企業向けのそれよりはるかに先行くケースが目立って増えてきた。野村総合研究所の古明地正俊 技術調査部 グループマネージャーは「最近は端末やインフラだけでなく、特にソフト/サービスにおいて“産消逆転”の現象が多く見られるようになってきた」と話す([node:1120,title="Part3",unavailable="Part3(8月19日公開予定)"]を参照)。

企業動向
SNSをビジネスの武器に

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、ソフト/サービス分野で今まさに起きている産消逆転の典型例である。周知の通りSNSは元々、携帯電話やパソコンでネットに慣れ親しんだコンシューマが、ネット上で人脈を醸成・管理する用途で広がった。このため、あくまで「流行に敏感なコンシューマが飛びつくものでビジネス用途には向かない」と見る向きが大多数だった。

ところが、ここにきて風向きが大きく変わってきた。1人ひとりの人脈を経由して次々と情報が伝達されるSNSの特徴に目を付けた企業が、新たなマーケティングツールとして活用し始めたのである。

具体的には、コンシューマ向けのSNSに企業アカウントを登録し、SNS内でキャンペーン告知や割引クーポンを配布することで集客力や売上高の向上を図っている(図2-1)。この種のSNS活用例は、特に米国の小売業で後を絶たない。全国規模でチェーン展開している大手小売業の実に約60%が、主にマーケティング用途でSNSを使っているという([node:1121,title="Part4",unavailable="Part4(8月20日公開予定)"]を参照)。

図2-1 マーケティングツールとしてSNSを活用するイメージ
図2-1 マーケティングツールとしてSNSを活用するイメージ

国内では、部門横断型のプロジェクトを進める企業や、社内人脈を充実させる仕組みを模索し続けてきた企業の間で、SNSを社内利用する動きが広がっている。例えば人材サービス大手インテリジェンスは2009年3月に社内SNSを導入。顧客企業に常駐することが多いため社内人脈を充実させるのが難しいエンジニアが、互いに技術情報やノウハウを交換する場として活用している(7月号「ザ・プロジェクト」を参照)。

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