BPMシステム構築プロジェクトは、一般的には多くの人的リソースと費用が必要となる大規模な活動です。しかし、最初から大きな投資をすることはリスクがあります。そのため、まず、第1ステップである「パイロットプロジェクト」という比較的小さいプロジェクトを実施することで、BPMシステム構築の一通りの作業を経験し、BPMシステムの効果をなるべく早く実感できるようにします。
3. 第1ステップ(パイロット・プロジェクト)
1) プロジェクトの規模
通常このプロジェクトは表1に示すような規模で実施します。
体制 | 2~3名 |
---|---|
業務部門1名(プロジェクトマネージャー) | |
情報システム部門1名 | |
社外専門家1名(計画はコンサルタント、設計はシステムインテグレータの上級SE、開発はシステムインテグレータのSEもしくは上級プログラマーといったように、工程ごとに登場人物を変えることをおすすめします) | |
期間 | 6~8カ月 |
費用 | 500~1000万円 |
業務範囲 | あるビジネスプロセスの一部(サブプロセス) |
このプロジェクトで構築するシステムの特徴 | ワークフロー図を作成、DB化し社内で共有 |
想定するソフトウェア及びハードウェア | 社内で使用しているワークフロー機能の付いたグループウェアやビジネスプロセスモデリングツール |
2) システム標準の策定
BPMをシステム構築し運用するうえで非常に重要な項目が、システム標準の策定です。
BPMシステムの最初の導入段階である第1ステップ(パイロットプロジェクト)において基本的なシステムを構築するために必要なシステム標準を策定する必要があります。前述したBPMの「業務の可視化」では、ビジネスプロセスについて作業の進め方を標準化しました。ここではビジネスプロセスのシステム化にあたり、そのシステムを構築するために必要となる「システム標準」を策定します。ここでいうシステム標準とは、プログラムの名前の付け方やユーザーインタフェース(画面のデザインや画面上のボタンの配置など)、プログラムの入出力の形式、コーディングの規則などを指します。その際、経験のあるベンダーやシステムインテグレータ、コンサルタントはシステム標準の雛形を持っていますので、それを活用することをお勧めします。
そして、第1ステップ(パイロットプロジェクト)で作成した標準を、第2ステップの「特定ビジネスプロセスプロジェクト」や第3ステップの「全社展開プロジェクト」を実施していく過程でブラッシュアップすることが重要です。
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