電通国際情報サービス(以下、ISID)は2009年10月22日、クラウドコンピューティングによるSAPアプリケーション運用支援サービス「Panaya(パナヤ)」に新たに3つのサービスメニューを加え、日本での提供を開始すると発表した。
「Panaya」は、Panayaが開発し、米国特許を取得している大規模システムのコード解析技術を活用したSAPアプリケーション運用支援サービスで、ISIDが2009年4月に日本での提供を開始している。今回提供する3つのサービスメニューは、このコード解析技術を応用し、SAPアプリケーションの改変時に必要なプログラム修正やテストが発生した際の影響を「見える化」することで、SAPシステム運用負荷を軽減し、運用保守コストを削減するものである。新サービスの概要は次のとおり。
(1)「クレンジング・オートメーション」
SAPシステムの稼働状況を継続的に監視し、不要なアドオンオブジェクト(プログラムや権限等)の削減提案を行うサービス。
SAP ERPシステムの導入から運用に至る過程で、開発途中で放棄されたアドオンプログラムや、業務改善の一環で使用されなくなった機能など、企業のプログラム資産管理において問題となる不要オブジェクトが残ってしまうケースが多い。これらの不要なオブジェクトを削減し、システムを最適な状態で管理することにより、アップグレード時のリスクを減らし、運用コストの削減が可能になる。
(2)「コンソリデーション・オートメーション」
SAPシステムを一つに統合する際に発生する影響を分析するサービス。
SAP導入企業の多くは、グループ会社やグローバル拠点など、1企業グループ内で複数のSAPシステムを運用している。コンソリデーション・オートメーションは、経営戦略の転換やコストダウンのためのサーバー統合などで複数のSAPシステムを統合する際に、異なるSAPシステム間に存在するプログラムの相似関係を分析し、統合可能な場合の適合率を提示する。オリジナルのSAPシステムが分割され、再度統合の必要がある場合に最も効果を発揮する。
(3)「サポートパッケージ・オートメーション」
SAPシステムは、継続的にSAP社から機能拡張・不具合修正のためのサポートパッケージが提供される。最新バージョンのSAP ECC6.0では特に、新機能の提供のためにエンハンスメント・パッケージが用意され、アップグレードを行うことなくSAPシステムに新たな機能を追加することが可能となっている。これらのサポートパッケージは数千のSAPノート(説明や修正指示記述)で構成されるため、企業内で使用しているSAP機能のうちで影響を被る箇所を調査するのに、多くの工数やコストがかかっていた。
サポートパッケージ・オートメーションは、自社の環境で使用している機能のみに焦点を当て、サポートパッケージやエンハンスメント・パッケージを適用した際の影響範囲を分析し、修正やテストの範囲を提示する。
「Panaya」活用による効果は次のとおり。
- 影響範囲の「見える化」により、プロジェクトマネージャの意思決定を促進。
- 過少なテスト、過剰なテストを防止するコード解析機能(Panaya社特許取得済)。
- 不要なアドオンオブジェクトを30~50%削減(Panaya社調べ)。
- サポートパッケージ、エンハンスメント・パッケージ適用時のコストを最大で50%削減(Panaya社調べ)。
「Panaya」の価格は、ユーザーのSAP ERP環境のオブジェクト数と利用期間で決まる。
小規模サイズのユーザー(対象オブジェクト数が~1999まで)の場合は次のとおり。
クレンジングサービスの利用料(6カ月間)は、160万円(税抜き)~。
サポートパッケージサービスの利用料(12カ月間)は、350万円(税抜き)~。
初期費用として、両サービスともに別途40万円が必要。
コンソリデーションサービスの利用料は、システム数により変動するので、要問い合わせ。
「Panaya」の製品概要
http://www.isid.co.jp/solution/erp/panaya/
Panaya
http://www.panayainc.com/
電通国際情報サービス
http://www.isid.co.jp/