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IIJが国内初の外気冷却式コンテナ型データセンターの実証実験を公開

2010年2月16日(火)IT Leaders編集部

インターネットイニシアティブ(IIJ)は2010年2月15日、新開発のコンテナ型データセンター(DC)の実証実験を報道関係者向けに公開した。実証実験では、主にコンテナ内の冷却システムの性能を中心に、商用に耐えうるかどうか検証する。実証実験の期間は2010年2月1日から2011年2月までの1年間で、実験終了後は同DCを同社のクラウドコンピューティングサービス「IIJ GIO」の基盤として活用する予定だ。

 コンテナ型DCとは、サーバーラックや電源、冷却設備などを貨物輸送に使うコンテナ内に収納した小型のDC。ビルなどの建造物を新たに作る必要がないため、構築期間の短縮や建造コストの削減が実現できる。既に米国ではグーグルやマイクロソフトなどが自社のDCに採用している。

 IIJが実証実験中のコンテナ型DCの特徴は、冷却システムに「外気冷却方式」を全面採用したことだ。外気冷却方式とは、DC内にファンの回転で取り入れた外気によってサーバーの熱を下げる冷却方式。コンテナ型DCで主流の「水冷方式」に比べて、消費電力を抑えた。2010年2月1日に開始した実証実験では、主に外気冷却システムの性能を調査し、年間を通して商用に耐えうるかを検証する。

 外気冷却方式を水冷方式の補助として利用するコンテナ型DCはあるが、「外気冷却方式を年間を通して全面採用するのは国内初」(サービス事業統括本部データセンター事業統括部部長の久保力氏)。水冷方式では、サーバーの熱で温まった水を冷やす「チラー」という空調機器を常時稼働させる必要があり、大きな電力が必要だった。

 新DCは、コンテナ内外の温度や湿度の差に応じた3つの冷却モードを用意する。(1)ファンを稼働させて外気を取り入れ、コンテナ内にたまった暖気をそのまま外部に放出する「外気運転モード」、(2)冬など外気温が低い場合、結露防止のためファンで取り入れた外気にコンテナ内の暖気を混ぜて循環させる「混合運転モード」、(3)夏など外気温が高い場合、外気を取り入れずにチラーで冷やした冷気をファンで再循環させる「循環運転モード」の3つだ。チラーを稼働させるのが(3)だけであるため、年間の電力消費量を抑えられるという。モード変更の閾値となる具体的な温度や湿度は公表していないが、コンテナ内の温度や湿度は、DC内の最適な空調環境のガイドラインを公開するASHRAE(米暖房冷凍空調学会)が推奨する値となるようにモード調整をしているという。

 検証実験は代理熱源ではなく、実際のサーバーをラックに積載して実施。サン・マイクロシステムズやヒューレット・パッカード、富士通製など複数のメーカー製サーバーを混載する。サーバーへの負荷はコンテナ内外の管理コンソールから変更可能で、最大90kVAの電力負荷をかけられる。90kVAは、一般家庭30軒分の電力消費量に相当する。検証結果を外部公開することも検討中だ。

 検証中のDCは中部地方に設置しているが、商用稼働するセンターの設置場所は変更する可能性がある。「中部地方にこだわりがあるわけではない。北海道などを含め他の拠点に置くことも検討している」(久保氏)。DCの構築はIIJをはじめ5社で実施。全体設計をIIJ、空調システムを東芝、火災防止システムを能美防災、電流監視システムを河村電器産業、コンテナ筐体開発をNLMエカルがそれぞれ担当した。実証実験用のサーバーは国際産業技術から調達した。

 2011年3月にも商用利用を開始し、同社のクラウドコンピューティングサービス「IIJ GIO」の基盤として活用する予定だ。IIJ GIOは、サーバーやストレージ資源を月額課金で利用できるサービス。コスト効果に優れる外気冷却型のコンテナ型DCをサービス基盤にすることで、GoogleやAmazonなど海外のクラウドサービス事業者にコスト面で対抗する考えだ。

●Next:実証実験の様子を一挙掲載

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