[市場動向]

NRIセキュア、データ分散でセキュリティと耐障害性を両立させる電子割符の実証実験

2010年3月1日(月)IT Leaders編集部

NRIセキュアテクノロジーズは2010年3月1日、新しいデータセキュリティ技術の実証実験を開始した。新技術はデータを複数の場所に分散保存することで、セキュリティと耐障害性を両立する。実証実験では、新技術の情報漏えい防止性能を中心に検証。2010年10月の商用化を予定する。

 新しいデータセキュリティ技術は、NRIセキュアテクノロジーズが2010年1月13日に発表した「秘密分散技術を用いて重要情報を保護するデータ管理サービス」。データを暗号化した後に複数に分割し、物理的に離れた複数のデータセンターに分散保存するのが特徴だ。悪意ある人がデータの一部を入手しても元のデータに復元できないため、セキュリティが高まるという。主にデータセンターに保存したデータのセキュリティ対策への適用を想定する。

 新技術の中核となるのは、グローバルフレンドシップのデータセキュリティ技術「電子割符」。実験では、電子割符の情報漏えい防止性能を検証する。具体的には、複数の条件を想定したブラックボックステストを実施し、分散したデータから元のデータに復元できる可能性などを調べ、商用に耐えるかどうかを判断する。検証結果は2010年4月にも公開する。

 電子割符の仕組みは、具体的には(1)元のデータにランダムな0と1のビット列を掛け合わせることで暗号化する「乳化」、(2)乳化後のデータを複数の断片に分割し、物理的に離れたデータセンターに分散保存する「分割・分散」の2つのステップから成る。1つのデータセンターに1つの断片を保存することを想定している。

 断片にパリティデータを埋め込むことで、断片の一部が紛失しても残りの断片から元のデータを復元可能にする。パリティデータは、他の断片をさらに分割したもの。「RAID 5構成に近い仕組みで、セキュリティと同時に保存データの信頼性も向上できる」(ITセキュリティコンサルタントソリューション事業本部長の佐藤 敦氏)。実験では、1個または2個の断片を紛失した場合についてデータが正確に復元できるか検証し、商用時には1個の断片の紛失時の復元のみを動作保証する。

 データの乳化と分割・分散、データ復元を担う常駐ソフトウェアをクライアント端末に導入する。常駐ソフトウェアは事前設定した特定のフォルダを常時監視し、フォルダへのファイル保存時に自動で乳化と分割・分散を実施する。データの断片を分散保存する先のサーバーは、常駐ソフトウェアにIPアドレスを指定して事前登録する。データ復元の際は、断片の1つをダブルクリックすることで、分散保存した残りの断片を常駐ソフトウェアが自動収集し、元のファイルに復元する。

 文書の重要度をラベル付けする同社の「SecureCube / Labeling」との連携機能も備える。具体的には、SecureCube / Labelingで重要度を指定した文書を、電子割符により自動で暗号化する機能を実装する。

 実験はデータセンター事業者やシステムインテグレータを含む20社を中心に実施。商用化後の新技術は、主にデータセンター事業者やSaaS事業者が、自社のサービスに暗号化ライブラリとして採用することを想定する。利用料金は各サービス提供会社によるが、同社では1ユーザー月額1000円程度が目安になると見ている。

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