基幹業務向けSaaSが増えている。「持たざるIT」を標榜するユーザーにとって、現在どんなサービスが利用できるかという点を第一義に、一覧でまとめた。ただしすべてがマルチテナント/シングルインスタンス型ではない。技術的な追求はせず、シングルテナント型も含めSaaSを謳うサービスを広く取り上げている。
ERP、財務/会計、給与/人事、生産管理、販売管理、購買/在庫/調達の6つのカテゴリー別に、国内で提供されているSaaSを以下の表にまとめた。取り上げたサービスは56種類。同じカテゴリーでも、初期費用やAPI公開、サービスレベル契約の有無などによって差がある。ベンダーにとって、導入実績数はアピールポイントとなるはずだが、多くが非公開と回答している。
ERP
国内大手ベンダーとして名乗りをあげているのはNEC。同社とNECネクサソリューションズは2010年2月、「EXPLANNER for SaaS」を中心としたメニュー拡充を発表した。給与計算や物流、情報系業務も含め、2010年度上期までに15種から50種に増やす予定だ。
富士通は「大規模向けGLOVIAおよび中堅/中小向けのGLOVIA smartのSaaS化を検討している」( GLOVIA smart ビジネス統括部 プロジェクト部長 梶山亮氏)。2009年12月にホテル業界向けGLOVIA smartを投入しており、まずは業界特化型SaaSを足掛かりに地場を固める考えだ。
SaaS型ERPの草分けであるネットスイートはここ数カ月で、中小企業や大企業の拠点を中心にユーザー数が急増しているという。「まずは一部の機能を導入して、徐々に適用範囲を広げていく使い方が多い」(マーケティング本部の内野彰プロダクトマーケティング部長)。GCT研究所の「Just-iS」やニッセイコムの「GrowOne Cube」もスモールスタートを考慮したSaaSだ。
ノークリサーチの岩上由高シニアアナリストは、「オンプレミス製品を提供する大手ベンダーがSaaSに動けば、ユーザーも一気に舵を切る。ただしそれは、数年先だろう」と語る。
財務/会計
個人事業主などの小規模向けから、グループ企業の連結業務を支援する大企業向けまで幅が広い。特に最近は大規模向けのSaaSが増える傾向にある。日立製作所は2010年2月に「SaaS型連結納税ソリューションC-Taxconductorサービス」を発表。パッケージ「C-Taxconductor」で培ったノウハウをSaaSとして提供する。多言語/多通貨に対応するエス・エス・ジェイのパッケージ「SuperStream」も2010年中にSaaS化の予定だ。海外にある現地子会社との連結決算業務をサポートする。
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