レッドハットは2010年3月30日、新製品となるデスクトップ仮想化ソフト「Red hat Enterprise Virtualization Manager for Desktops」を発表した。米国時間の3月29日にベータ版の配布を開始しており、2010年前半の出荷を予定する。
同ソフトは、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)ソフト。サーバー仮想化ソフトの上で仮想クライアント機を動作させ、クライアントOS(WindowsまたはLinux)を、シンクライアント(画面情報端末プロトコル)経由で遠隔操作する。この際、個々のクライアント機とユーザーをヒモ付けて管理するデスクトップ・ブローカ機能を提供する。
特徴は、画面情報端末プロトコルとしてSPICE(Simple Protocol for Independent Computing Environment)を採用した点。SPICEの開発元は、KVM(Kernel Virtual Machine)の開発元で米Red Hatが買収した米Qumranet。SPICEクライアントの実装はActiveXであり、実行環境としてInternet Explorerが必要。仮想マシンは標準のOVF形式でインポート/エクスポートできる。
デスクトップ仮想化ソフトは、同社の仮想化関連ソフトとしては、2009年11月に出荷したサーバー仮想化ソフト群「Red hat Enterprise Virtualization for Servers」(独立型ハイパーバイザと運用管理ソフトで構成)に次ぐものとなる。
なお、レッドハットでは、これら仮想化ソフトを含む仮想化/クラウド関連事業を手がける事業部門「クラウド・仮想化事業本部」(20人規模)を、2010年4月1日付けで発足させる。2011年度(2011年2月決算期)に、まだ1億円に満たない仮想化関連の売上額を10倍に増やす。独立した事業部門の発足は、2008年のJBoss事業本部に次ぐものとなる。