[市場動向]

マイクロソフトがVDI販売戦略を明らかに、シトリックスとも協業

2010年4月27日(火)IT Leaders編集部

マイクロソフトは2010年4月26日、デスクトップ仮想化(VDI)に関する販売戦略を発表した。VDI向けのクライアントOSライセンスの体系変更や、VDI構築支援製品群の機能強化が骨子。併せてシトリックス・システムズ・ジャパンとのVDI製品販売での協業も発表した。VDIを含む仮想化分野で高い存在感を示すヴイエムウェア製品からの乗り換えを促したい考えだ。

 仮想デスクトップ用のクライアントOSライセンスを刷新。従来の「Virtual Enterprise Centralized Desktop(VECD)」を廃止し、2010年7月1日から価格を抑えた「Windows Virtual Desktop Access(Windows VDA)」を新たに販売する。従来のVECDは1台あたり年間1万4400円だったが、Windows VDAではクライアント端末1台あたり年間1万3000円前後に価格を下げる。

 Windows 7などのクライアントOSの保守サポート契約「ソフトウェア アシュアランス(SA)」を契約している場合には、Windows VDAを無償で利用可能にする。従来のVECDの場合は、SAの契約に加えてクライアント端末1台あたり年間2748円の「VECD for SA」の購入が必要だった。

 VECD/Windows VDA向けのSAはないが、両ライセンスには無償バージョンアップやサポート、トレーニングといったSA相当の特典が付いている。

MDOPをバージョンアップ、App-V/MED-Vを機能強化

 2010年4月2日には、デスクトップ管理製品群の「Microsoft Desktop Optimization Pack(MDOP)」の新版「MDOP 2010 Reflesh」を販売開始している。MDOPは、アプリケーション仮想化ソフトウェア「Application Virtualization(App-V)」や、仮想マシンイメージ管理ソフトウェア「Enterprise Desktop Virtualization(MED-V)」など6種類のソフトウェアで構成。Windows OSのSAを契約している場合に購入できる。

 MDOP 2010 Refleshでは、App-VとMED-VをそれぞれApp-V 4.6、MED-V 1.0 SP1にアップデートした。App-V 4.6ではインターネット経由での仮想アプリケーションの配布機能や、64bitアプリケーションの仮想化機能を追加。MED-V 1.0 SP1では日本語環境での動作や、ホストOSへのWindows 7の利用を可能にした。

シトリックスと協業、VMwareからの乗り換えを促す

 併せて、シトリックス・システムズ・ジャパンとVDI関連製品の販売で協業することを発表した。両社はマイクロソフトのVDI製品群と、シトリックスのデスクトップ仮想化ソフトウェア「XenDesktop」を組み合わせて顧客に提案する。

 Windowsの顧客ベースを狙いたいシトリックスと、自社製品にない機能を補完したいマイクロソフトの思惑が一致した形だ。XenDesktopには、マイクロソフトのVDI製品群にはない単一のマスターイメージから複数の仮想マシンイメージを作成する機能などを持つ。

 マイクロソフトの「Virtual Desktop Infrastructure Standard Suite」と、シトリックスの「XenDesktop VDI Edition」を組み合わせた2つの割引キャンペーンを実施する。(1)新規顧客向けに、1台あたり年額3916円で購入可能にする「VDI クイックスタート」、(2)競合製品であるヴイエムウェアの「VMware View/VDM」ユーザー向けに、500台分までのライセンスを1年間無料で提供する「VMware VDI ユーザー向け無償プログラム」、の2つだ。実施期間は、2010年4月26日から同年12月末まで。

 両社は(2)の無償キャンペーンにより、VMwareからの乗り換えを促す考え。「VMwareの試用段階で機能が自社ニーズに合わないことが分かっても、他製品への乗り換え負担が大きいためにそのまま全社展開に踏み切るユーザー企業もいる。そうした企業に製品選択の機会を提供する」(シトリックス マーケティング本部プロダクトマーケティング担当部長の竹内 裕次氏)。

 マイクロソフトは、VDI構築用の製品・ライセンス群を「Microsoft VDI」と総称している。これに含まれる主要な製品・ライセンスには、VECD/Windows VDAやサーバー仮想化製品の「Hyper-V」、MDOPを含むVDI構築支援製品群「Virtual Desktop Infrastructure Standard Suite/Premium Suite(VDI Suite)」などがある。VDI Suiteの購入にはVECDまたはVECD for SA(2010年7月1日以降はWindows VDAか、Windows OSのSA)の購入が必要になる。

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