[インタビュー]

「クラウド化の旅路は欧米でも始まったばかり」─アクセンチュアのケビン・キャンベル氏

2010年11月19日(金)IT Leaders編集部

国内外の企業のクラウド移行について、アクセンチュアのテクノロジー本部でグループチーフエグゼクティブを務めるケビン・キャンベル氏に聞いた。(聞き手は本誌編集長 田口 潤)

キャンベル氏

──日本の大手企業はクラウドに対してまだまだ慎重だが、海外の状況は?

キャンベル氏:ブラジルやロシア、インド、中国といった新興国が先行している。新興国の企業は既存システムを持たない分、クラウド化への障壁が低い。一方、欧米においては、営業や実績管理、教育といった、重要だが基幹系ではないアプリケーションにクラウドを適用する大企業が増えている。

──基幹系へのクラウド適用は、どのように進むか。

キャンベル氏:大きく4つのステップをたどる旅路だと考えている。第1ステップは、「計画」である。今後2〜3年で自社がどういう姿になりたいかを描き、それに必要なアーキテクチャを決める。第2のステップは、「簡素化」のステップだ。ここでは、システムの利用状況を調査し、使われていないシステムや重複機能を整理・統合していく。

──日本企業はメインフレーム、C/S、Webシステムなどをオンプレミスで抱えている。簡素化は難題だ。

キャンベル氏:欧米でも事情は変わらない。当社はそうした課題に対処するため、大きく2つの方法論を用意している。1つはシステムの機能を洗い出し、新しい技術へと移行させる「アプリケーションポートフォリオラショナライゼーション」だ。もう1つは、異なるアプリケーションの性能や応答を統合管理し、単一のものとして運用する「サービスインテグレーション」である。

──クラウド化に向けた3つめのステップは?

キャンベル氏:第1ステップで決めたアーキテクチャに基づき、新規アプリケーションを開発していく「開発」ステップである。続く第4ステップは「仮想化」。プライベートクラウドを構築し、既存アプリケーションをそこに載せていく。

こうしていよいよ、パブリッククラウドの利用を検討する準備が整うことになる。といっても、すべてをパブリッククラウドに移行させる必要はない。プライベートクラウドで十分に利益を享受できるという部分も出てくるだろう。企業の多くは、パブリックとプライベートを併用すると見ている。

──アクセンチュアの社内システムは、どの段階にあるか。

キャンベル氏:第4ステップだ。標準化や簡素化、重複排除を進めた結果、今では導入から8年以上たっているアプリケーションは存在しない。パブリッククラウドへの移行も計画中だ。Microsoft Azureか、VCE連合(VMwareとシスコ、EMCによるクラウド連合)が提供するクラウドスタックのいずれかを採用することになるだろう。

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