日本SGIは2010年12月27日、演算処理装置としてCPUおよびGPU(Graphics Processing Unit)を併用するハイブリッド型ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)サーバの新ブランド「SGI Prism シリーズ」を発表し、第一弾として新製品「SGI Prism XL」の販売を同日より開始すると発表した。出荷開始時期は、2011年1月下旬の予定。
SGIは、サーバの形状をスティック型にしてブレード型以上の高密度化を可能にする「SGI STIXアーキテクチャ」を独自に開発し、今回初めて「SGI Prism XL」に実装した。GPUの活用による演算速度の向上と省電力化の両立、高密度化によるコスト削減を同時に可能にする新HPCサーバである。同社は「SGI Prism XL」の投入を皮切りに、演算性能がペタフロップの世界に入った科学技術計算分野の要望に応える製品群を提供していく。また将来的には、ペタフロップの1000倍の処理能力を持つ次世代のエクサスケールコンピューティングの具現化を目指すという。
■ 「SGI Prism XL」の特徴
「SGI Prism XL」は、CPUとGPUを1対1で接続する設計となっている。ひとつのCPUあたりに複数のGPUが接続される一般的なGPUコンピューティングシステムと比較して、CPUとGPUの間で入出力の競合が発生しないため、GPUの性能を最大限に引き出すことができる。GPUはNVIDIA TeslaとAMD FireStream、またアクセラレータとしてTileraのTILEncoreが搭載可能で、利用用途やアプリケーションに応じて選択できる。また、スティックごとに異なるGPUを搭載できるため、アプリケーションに応じてスティックを機能別に構成することも可能である。
- 高さ8.48cm×幅14.68cm×奥行94.3cmのスティック型筐体にすべてのハードウェアコンポーネントが搭載されている。
- スティックあたり、AMD Opteronプロセッサーを最大2ソケット、GPUを最大4枚、メモリを最大128GB(8DIMM×16GB)、内蔵ディスクを最大4TB搭載可能で、入出力インターフェースとしてPCI Express Gen2 (x16)が4スロット標準装備されている。
- 高さ2Uの専用エンクロージャに3本のスティックを搭載でき、標準的な19インチキャビネットに最大63本の「SGI Prism XL」を搭載可能である。
- オペレーティングシステムは、Red Hat Enterprise LinuxとCentOSから選択できる。
GPUとしてAMD FireStream 9350をスティックあたり4枚搭載した場合、標準キャビネットあたりのGPUコア数は36万2880となり、x86プロセッサーを搭載した一般的なシステムと比べると、設置スペースあたり最大720倍の実装が可能である。
■ 価格例(税抜き)
「SGI Prism XL」(2Uラックにスティック3本を搭載、1スティックあたりAMD Opteron プロセッサー4100番台2枚ソケット、250GB SATAハードディスク2台、8GBメモリ、AMD Firestream 9370 2枚。OSを含まない構成)の価格は、576万1000円。
「SGI Prism XL」
http://www.sgi.co.jp/products/prismxl/index.html