米Fusion-ioは、PCI Expressバスに直結して使う高速な半導体ストレージ「ioDrive」製品群を開発するベンダー。国内では、東京エレクトロン デバイス(TED)が同製品の製品販売を開始した。インプレスビジネスメディアは2011年1月13日、国内出荷に合わせて来日したアジア太平洋地域セールス・ディレクタのMathew Fleming氏に、ストレージ市場におけるioDriveの意義を聞いた。
──ioDriveを開発した背景は。
今から5~6年前、米Fusion-io設立者の1人であるDavid Flynnは、「ユーザー企業はディスクI/Oの性能で困っている」との見解を示した。
David Flynnは、HPC(High-Performance Computing)のバック・グラウンドを持つ人物だ。HPCは「いかに短時間でデータをCPUに渡すか」が重要になる世界だ。
従来のシステムでは、ディスク上にあるデータをCPUに渡すまでの過程において、9~10回ほど、同じデータをコピーする。こうした無駄な仕組みによって、レイテンシ(遅延時間)が大きくなり、データの複製エラーも発生する。
そこで、「ディスクからCPUへの経路のうちで発生するデータ・コピーの回数を減らす」ことを考えた。こうすることで、データ・アクセス性能が高まり、エラーも減る。
こうして生まれたのが、チップセットのストレージ・コントローラも外付けRAIDコントローラも使わずに、PCI Express(PCIe)バスに直結して使うストレージだ。
──競合他社との差異化ポイントは。
「PCIe接続型の半導体ストレージ」というだけであれば、こうした製品を開発することは、さほど難しいことはない。米Fusion-ioの差異化ポイントは、主に、先駆者であることと、OEMを中心としたパートナーシップだ。
Fusion-ioは、PCIe接続型半導体ストレージにおいてリーダーであり、競合他社と比べて3年進んでいる。イノベーションの量や特許の量も膨大だ。米Fusion-ioが2008年5月に出荷した第1世代の製品「ioDrive」と同等の製品を、競合他社はようやく最近になって提供できるようになった。
OEM供給では、米Hewlett-Packard、米IBM、米DELLなど、主要なPCサーバー・ベンダーが、米Fusion-io製品をオプション製品として取り扱っている。米Hewlett-Packardに対しては、PCIeバス接続型の通常の製品のほか、ブレード・サーバー用のメザニン・カード型の製品も供給している。
PCサーバーのオプションのほかにも、米Fusion-io製品を組み込んだ特定用途向けのアプライアンス・サーバーを、各社が製品企画・出荷している。BI(ビジネス・インテリジェンス)やDWH(データ・ウエアハウス)などデータベースを高速化する用途や、Webホスティング用途、インターネット・セキュリティ用途、HPC用途など、各種の応用例がある。
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