[技術解説]
仮想アプライアンスの動向
2011年5月24日(火)栗原 雅(IT Leaders編集部) 鳥越 武史(IT Leaders編集部)
仮想化されたサーバーを対象に、各種アプリケーションの導入に必要なソフトウェアスタックを最適化した「仮想アプライアンス」。プライベートクラウド環境上で効率よくアプリケーションを展開するものとして期待できる。IFRS(国際会計基準)対応やCRM(顧客関係管理)向け製品も登場し始めた。
クラウドアプライアンスが提供するのはあくまで「ITプラットフォーム」である。この上でアプリケーションを稼働させるには当然、パイパーバイザー上の仮想マシンにゲストOSやミドルウェアなどを含めたソフトを順に導入、設定しなければならない。それには相応のスキルと手間が必要になる。そこで仮想マシンで動かす各種ソフトを1セットのファイルとして構成したものが「仮想アプライアンス」である。仮想化したシステムの導入・運用の経験が浅くても、少ない手間ですぐに使い始められるという利点がある。
仮想アプライアンスの選択肢は着実に増えている。米ヴイエムウェアが2006年後半に開設した仮想アプライアンスのポータルサイト「Virtual Appliance Marketplace」には、2011年4月時点で約1650種類の製品が登録されている(図4-1)。日本法人でテクノロジー アライアンス部長を務める森田徹治氏によると「開設直後から続々と登録され、2009年には1000件を超えた。その後もコンスタントに増えている」。
現在、主流とも言える仮想アプライアンスはネットワーク管理製品や、アクセス管理やフィルタリングなどのセキュリティ関連製品である。例えば、ネットワーク機器類の動作状況を把握するソフトをLinuxに導入したものや、LinuxにLDAPを実装したものが存在する。アプリケーションやミドルウェアをいっさい含まず、ゲストOSの機能を単独で提供する仮想アプライアンスも品ぞろえが豊富だ。
IFRS対応など基幹業務向けの製品も登場
仮想アプライアンスの中には、NECのメールサーバー製品やトレンドマイクロのセキュリティ製品など、国内で調達可能なものも増えている(表4-1)。まだ数は少ないが、基幹業務を対象とする製品もある。
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