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64ビット化を図った組み込みOS新版「VxWorks 6.9」、ウインドリバーが概要を説明

2011年5月25日(水)IT Leaders編集部

「組み込み機器が変化している。リアルタイムOSと汎用OSを2重に搭載して使い分ける需要が高まった。マルチコアCPUと仮想マシンソフトがこれを支える」。ウインドリバーは2011年5月25日、同社が2011年3月に出荷した組み込み用途向けOS新版「VxWorks 6.9」の概要を解説した。新版では、64ビット化を図ったほか、開発環境として、米Intel製C++コンパイラを追加した。

 ウインドリバーの「VxWorks」は、組み込み用途向けのリアルタイムOSである。一般に、組み込みに特化したOSは、LinuxやWindowsなどの汎用OSと比較して、信頼性や堅牢性が高く、インストール領域のサイズが小さい。一方、汎用OSは、開発生産性や稼働アプリケーションの種類などで優位性がある。こうした中、VxWorksはこれまで、マルチプロセッサ化(AMPおよびSMP)やIPv6化など、各種の機能拡張を施してきた。

 新版のVxWorks 6.9では、主に3つの機能拡張を施した。

  • OSを64ビット化したことで、32ビットOSより多くのメモリー空間(4Gバイト超)を利用できるようになった。
  • 既存の2つのC/C++コンパイラに加えて米Intel製C/C++コンパイラを追加した。
  • ネットワーク関連のライブラリなどを改善し、ネットワーク使用時のセキュリティを高めた。

64ビットとIntelコンパイラで適用用途を拡大

 64ビット化によるメモリー空間の拡大により、各種の組み込みアプリケーションで利用しやすくなる。例えば、ストレージ製品のキャッシュ用メモリーの容量を4Gバイト超にすることで、ストレージのアクセス性能を高められる。このほか、医療機器や産業機器において、高精細画像のレンダリングや3次元表示などを高速に処理できるようになる。

 米Intel製C/C++コンパイラは、米Intel製のx86アーキテクチャのCPU向けに最適化された、32ビット/64ビット両対応のC/C++コンパイラである。x86 CPU、特に64ビットCPU向けでは、他のコンパイラを使った場合よりも高速に動作するバイナリを作成できるという。付属する音声/動画ライブラリを使うと、再コンパイルするだけで、他のライブラリと比べて20%以上高速化するとしている。

 今回のIntel製コンパイラは、VxWorksで利用可能なx86 CPU向けC/C++コンパイラとして、3つ目のコンパイラとなる。既存の2つのコンパイラは、GNU C/C++のVxWorks版と、Wind River Compiler(旧称はDiabコンパイラ)。Intel製コンパイラはx86 CPU専用であるのに対して、他のコンパイラはMIPSやARM、PowerPCなど他のCPUでも利用できる。

 ネットワーク・セキュリティ面では、IP層で通信を暗号化するIPsecに加えて、新たにイーサネットの通信を暗号化するMACsec(IEEE802.1AE)を搭載した。これにより、端末とスイッチ間の通信を暗号化しつつ、スイッチ側で暗号を解いて通信内容に応じてQoS制御などをかける、といった使い方ができる。また、ハッシュ関数ライブラリを更新し、SHA-256を利用できるようにした。

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VxWorks / 組み込み / Wind River Systems / リアルタイムOS

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