デルが企業買収を加速させている。ハードウェアの製造・販売を中心としたビジネスから、顧客企業の課題解決に軸足を置いた経営戦略にシフトするためだ。2010年以降の主要な買収企業をまとめた。
デルのサーバー工場「China Customer Center」をプレスに公開
製造体制の効率化を目指す一方で
100項目のテスト実施で品質向上を追求
2012年3月29日 中国・廈門市
ソフトウェアやサービスの買収を推し進めているからといって、デルがハード事業を軽視しているわけではない。それを示すべくデルは報道関係者を中国廈門(アモイ)市に招き、最新の工場を披露した。
廈門は中国南東部に位置し、対岸に台湾を見渡す古くからの港湾都市である。現在は深圳(シンセン)や珠海(シュカイ)などと並ぶ経済特区として人口は250万人を超える。こうした立地や税制上の優位性から、デルは1998年に中国の主力工場を置き、中国、日本、韓国、台湾向けのサーバーやストレージ、デスクトップPC、ワークステーションを生産している。最新のプロセサである「Xeon E5」を搭載する「PowerEdge」や、主力ストレージ「EqualLogic」などである。「設立年に比べて2011年の出荷台数は480倍に膨れ上がった。内訳は言えないが、サーバーやPC、修理部品などを含めると2011年は5000万台を出荷した実績を持つ」(同工場マニュファクチャリング・ディレクターのリン・ユー・ファン氏)。
サーバーなどの組み立ては、ライン生産方式ではなく、1台の製品を1人で組み立てるセル生産方式を採用する。ライン生産方式では難しい、顧客ごとに異なる仕様の製品を組み立てるのに適するためだ。ただし最近は、委託企業の仕様に基づき設計・製造するODMの比率を高める傾向にあるという。
デルによると、この工場でもっとも注力するのは品質管理。「製品の製造過程でテストにかける時間は7割を占め、耐衝撃や耐振動などの約100項目に及ぶテストを実施する。定期的にテスト項目を見直すことで顧客が求める品質要求に応える」(リン氏)。
組み立てに使用した部品情報や、品質テストの結果はデータベースで一元管理する。製品の製造番号から、どのサプライヤーの部品を使用したのか、さらにその下請け企業やテスト結果まで調べられる。不具合などの異常が見つかった際には、原因の所在を迅速に把握することが可能だ。「製造に関わる情報を蓄積し、初期不良や故障の発生率などをサポート担当者や品質管理担当者がチェックできる体制を整える。こうした取り組みにより製品の不良率を低減する」(シニア・クオリティ・マネージャーのジュン・マ氏)。