[技術解説]

ネットワーク仮想化や管理システムの強化で進化するクラウドインフラ─IIJ GIO

クラウド本格活用への道 Part5

2012年9月25日(火)栗原 雅(IT Leaders編集部)

多くのIT先進企業がすでに本格利用に乗り出していることからも明らかなように クラウドは現時点でも十分に実用に耐えられる技術レベルに到達している。 だが、ユーザー企業が一層のメリットを享受するうえで課題がないわけではない。 パート5では、クラウドの進化の行方を見通す意味でIIJ GIOを支える技術を解説する。

 クラウドは今、より大きな利益をユーザー企業にもたらすべく、進化のピッチをさらに速めつつある。今後のクラウドの行方を占うべく、IIJ GIOを支える大きく2つの技術動向を整理しておこう。1つは、ネットワーク構成の柔軟性を高めるネットワーク仮想化の技術。2つめは、安価なクラウド運用を可能にするコンテナ型のデータセンターである。

ネットワーク仮想化
「SDN」をIIJ GIOに実装へ

何より注視しておきたいのが、ネットワーク仮想化の技術動向だ。2012年7月、米ヴイエムウェアが同技術の有力ベンチャーである米ニシラの買収に12億ドル以上を投じると発表して話題になったのは、まだ記憶に新しい。その3カ月前の4月には、IIJとACCESSが合弁会社ストラトスフィアを設立。ネットワーク仮想化の技術開発に本格的に乗り出した。

サーバーとストレージの仮想化技術が進歩したことで、ハードウェアリソースを論理的に分割し容易に仮想サーバーに割り当てられるようになった。仮想環境と物理環境の統合管理やリソース管理/割り当ての自動化など、運用の効率化も進んだ。こうした技術の発展が現在までクラウドの成長をけん引してきた。

ところが、ユーザー企業のクラウド利用が広がるにつれて、積み残してきた課題を無視できなくなってきた。それがネットワークの仮想化である。

必要な処理能力を備えたプラットフォームをソフトの設定で迅速に構成できる仮想サーバーと違い、1つのネットワークを論理的に分割して使うVLAN(仮想LAN)の設定など、ネットワークの構成は物理スイッチに対する手作業が今も多く残っている。設定可能なVLANの数が思わぬ制約になる懸念もある。複数のVLANを設定した際、それぞれを識別するのに用いることができるIDの最大数が4096のためだ。IDを使い切ると、CPUなどのリソースは余っていても新規ユーザーのシステムをクラウド上に収容できなくなる。スイッチを増設すれば、ネットワークの維持管理コストと手間が膨らんでしまう。

このようなクラウド活用のボトルネックを解消するため、サーバーなどと同じくネットワークを仮想化してソフトウェアで制御しようというのが、ニシラなどが開発しているネットワーク仮想化技術「SDN(Software Defined Network)」である(図5-1)。ストラトスフィアも2012年10月をメドに、構成管理機能を含むSDNソフト「ストラトスフィアSDNプラットフォーム(SSP、仮称)」をリリースする予定。理論上1600万個超のネットワークを収容可能なVLANの拡張規格「VXLAN」などを利用することで、より大規模な論理ネットワークを一元的に制御できるようにする。

図5-1  SDN(Software Defined Network)を用いたネットワーク仮想化の概要
図5-1  SDN(Software Defined Network)を用いたネットワーク仮想化の概要

IIJは、今後構築するIIJ GIOのIaaSにストラトスフィアのSSPを実装していく方針だ。実現すれば、ハードウェアリソースの一層の有効利用や、離れた拠点間でリソースプールを共有するなどシステム構成の柔軟性と拡張性のさらなる向上が見込めるという。

IIJは運用の効率化やハード/ソフトの一括大量調達などを通じて、IIJ GIOの運用維持コストを従来比で30%程度削減してきた。ボトルネックだったネットワークの構成と運用の効率化が進み、運用維持コストの削減幅を広げられれば、ユーザー企業にとってもコストメリットが期待できる。

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