[韓国ICT事情]

韓国大手SIerの新しい成長戦略

2013年4月3日(水)李 東源

韓国の大手情報サービス各社が、2013年から新事業を推進する計画を打ち出した。既存の情報サービス市場が飽和状態にある中で、中長期の成長力を確保するのが狙いだ。

2013年の中央官庁(政府部処)の重要情報化計画、予算は増額

電子新聞 | 2013.01.01

2013年、韓国政府は郵便局や国民年金、図書館などの情報化を推進する。このため主要部処である知識経済部(経産省に相当)、保健福祉部(厚生省に相当)、文化体育観光部(文科省に相当)、国土科学技術部(文科省、国交省に相当)などの情報化予算は、昨年に比べ上昇した。

知識経済部は郵便局保険の情報化を核心事業として推進し、保険審査業務の自動化、損害率減少のための早期警報システムを構築する。ITインフラの拡充にも69億ウォン(約5億5000万円)を投入する計画だ。

保険福祉部は、国民年金の情報化事業に374億ウォン(29億9000万円)を投資する。福祉給付と福祉サービス情報を統合管理する社会福祉統合管理ネットワークの構築および運用、社会福祉施設情報システムの構築などから成り、社会保障情報システムも高度化する。

文化体育観光部は、デジタルコンテンツ制作の活性化や関連産業の育成、国家デジタルコンテンツの識別体系(UCI)構築などを急ぐ。コンテンツとデータベース産業育成に142億ウォン(約11億4000万円)の予算をつけた。さらに123億ウォン(9億8000万円)の予算を追加し、全国800カ所の公共図書館、3500カ所の一般図書館、200カ所の小規模図書館を連携する図書館情報化を実施する。

国土科学技術部は交通や建設、水資源、海洋、物流、港湾、航空などの情報化に1106億ウォン(88億5000万円)を投資する。

大手情報サービス企業、国内市場の限界を新事業で突破へ

電子新聞 | 2013.01.01

大手情報サービス各社が、2013年から新事業を推進する計画を打ち出した。既存の情報サービス市場が飽和状態にある中で、中長期の成長力を確保するのが狙いだ。

サムスンSDSは、物流コンサルティング会社であるEXE C&Tを合併。3PL(第3者物流)を高度化した、いわゆる4PL事業を本格化させる。1000億ウォン(80億円)を投資して物流パッケージを開発するほか、サプライチェーン管理の専門人材も1300名を確保した。すでにサムスン電子、サムスンコーニング精密向けにサービスを提供しており、2013年はグローバル4PL業者としての認知度を高める計画である。

LG CNSは電気自動車シェアリング事業を開拓する。ソウル市から同事業の事業者に選定され、関連する子会社も設立した。今年からパイロット事業を実施し、関連する事業モデルを持続的に発掘させる予定だ。SK C&Cは、電気自動車のバッテリ管理システム(BMS)を開発中で、系列のSKイノベーションと一緒に同バッテリ供給を推進する計画。このほかポスコICTは再生エネルギーやLED事業を、ロッテ情報通信は知能型ビルディングシステム(IBS)を基盤としたスマートビル事業を成長の原動力と位置づける。

背景にはITサービス市場の飽和がある。公共事業への大手情報サービス企業の参加要件が厳しくなり、金融関連の情報化市場も次世代プロジェクトがほとんど完了した。

韓国政府の調達システム「ナラジャント」が大幅に機能向上

アジア経済 | 2013.01.14

韓国には国や公共機関が物品やサービスを調達するためのポータル、「ナラジャント」がある。ナラジャントは「国+市場」の意味で、ほとんどの公共機関と企業は、このポータル経由でやりとりを行っている。

公共調達を統括管理する調達庁はこのほど、調達のグローバル化に向け、最新IT技術を取り込んだ「次世代ナラジャントサービス」を始めたと発表した。旧サービスに比べアクセス速度が75%、電子文書の送受信処理速度が50%向上したのが特徴だ。

検索機能も改善した。行政機関や企業の利用者は、今まで業務別(物品、工事、サービスなど)、処理過程別(公告、改札、落札など)で案件を検索していたが、統合検索やWork Place画面で把握できるようになった。平均10画面かかっていた調達業務が1もしくは2画面で済むようになる。3208もあったデータの種類を整理統合して1804に減らし、DB生成規則も標準化している。

個人情報の暗号化や、ソースコードレベルのセキュリティ、電子政府新フレームワークなどの最新技術基盤を適用し、安定性も考慮した。調達庁は、次世代ナラジャントによりシステム管理費用を以前より20%、金額にして6億9000万ウォン(約5500万円)減らせると期待している。

行政安全部、下半期からセキュリティ製品の性能評価を実施

ソウル経済 | 2013.1.22

韓国政府は今年の下半期からセキュリティ製品に関する性能評価を実施する。担当するのは行政安全部で、公共機関のセキュリティ製品導入を支援するのが目的。1月22日に、各種のセキュリティ製品に関する性能評価を実施し、その結果を提供することを発表した。

今まではセキュリティ製品の評価基準がないため、ベンダーが提供する情報に依存して導入していたのが現実。セキュリティ要件が厳しい事業に関しては、納品業者に性能評価の実施や報告を行わせていたため、納品業者の費用負担が大きい問題もあった。

行政安全部は、上半期中にファイアウォール製品と侵入防止システム(IPS)の2つの製品群の性能評価を実施し、評価基準を整理する。整理した基準をもとにVPN(仮想施設網)やDDoS関連などほかのセキュリティ製品群の評価を実施していく。

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