先行事例に見るBYODの実態 Part1で見た通り、現時点で、BYODに取り組む企業はまだまだ少数派。セキュリティリスクや、対応にかかるコストを考えると、二の足を踏む担当者も少なくない。そうした中、先行して私物の解禁に踏み切った企業には、どんな狙いと背景があったのか。担当者の証言ををまとめた。
盗難や紛失による情報漏洩や、多様なデバイスにシステムを対応させる管理コスト、セキュリティポリシー変更の手間など、BYODに取り組む経済的、人的なコストは小さくない。短期的な視点でみれば、コスト増の方が目につく場合も多いだろう。現時点でスマートフォンを業務利用する場合、会社支給を選択する企業が多い理由だ。
そうした状況にあって、あえてBYODに取り組んでいる企業は、ワークスタイルの改革や、デバイスの調達方法の柔軟化など、比較的長いスパンで効果を狙っている点で共通している。以下、各社の具体的な取り組みを見てみよう。
ネットワン・システムズ
テレワークの導入に合わせITインフラの刷新をスタート
「社外にPCを持ち出す際は、専用プログラムを使って、保存データの一覧を作成。申請書に添付して、上長の裁可を仰ぐ必要がある。よほどの理由がない限り、PCを持ち出す従業員はいなかった」。ネットワークインフラの設計・構築を手がけるネットワン・システムズで社内システムを管理する谷口勇部長はITインフラ刷新以前の状況についてこう振り返る。
厳しいセキュリティ要件を課していたネットワンが、BYODを解禁したのは、2010年秋のことだ。取引先が禁止している場合などを除き、原則として全従業員が、自分の好きなPCやスマートデバイスを職場に持ち込み、業務に使用できるようにした。
会員登録(無料)が必要です
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
- 次へ >